アレッサンドロ・バストーニのプレースタイルを徹底解説:知性と技術で攻守を支える次世代CB

選手紹介

アレッサンドロ・バストーニは、現代サッカーにおいて卓越した技術を持つセンターバックである。現在はインテルとイタリア代表でプレーしており、その知性と技術を披露しているところだ。この記事ではそんなバストーニについて紹介していきたい。

基本情報・成績

生年月日1999/04/13
国籍イタリア
身長190cm
ポジションDF
利き足

キャリア初期

バストーニは、幼少期に父親が指導していたリヴァローロ・マントヴァーノのユースチームでサッカーを始めた。7歳の時、セリエAの名門アタランタのユースアカデミーに加入し、以後約10年間、様々な年齢カテゴリーで成長を続けた。ユース時代のバストーニは、特に守備の安定感と空中戦での強さが評価され、プリマヴェーラチーム(U-19)のレギュラーセンターバックとしても頭角を現した。

2016年10月、アタランタのトップチームに初めてベンチ入り。翌月にはコッパ・イタリアでフル出場し、3-0で勝利を収めた試合でプロデビューを果たした。セリエAデビューは2017年1月のサンプドリア戦で、90分フル出場し、チームを1-0の勝利に導いた。このシーズン、トップチームでの出場機会は少なかったが、将来を嘱望される若手選手として注目を集めていた。

インテルへの移籍

2017年8月31日、インテル・ミラノはバストーニを約3100万ユーロで獲得したが、すぐにアタランタへローンバックされ、翌シーズンも引き続きアタランタでプレーした。その後、2018年にはパルマへローン移籍し、パルマではリーグ戦24試合に出場して1ゴールを記録した。パルマでの経験は、彼にとって重要な成長の機会となり、インテル復帰後すぐにチームの中心的存在へと成長する契機となった。

インテル・ミラノに復帰したバストーニは、2019-2020シーズンから徐々にレギュラーに定着した。特に2020-2021シーズンには、アントニオ・コンテ監督の下でセリエA優勝を果たし、インテルにとって11年ぶりのスクデット獲得に大きく貢献した。バストーニは3-5-2のフォーメーションにおける左センターバックとして、攻守両面でチームの要となった。彼の特徴である精確なパスや冷静な判断力、空中戦での強さは、インテルの戦術に欠かせないものとなっている。また、同僚の左ウィングバックであるフェデリコ・ディマルコとのコンビネーションも特筆すべき点であり、この連携は代表チームにも持ち込まれた。

なお、バストーニがこれまでのキャリアで獲得したタイトルには、セリエA、コッパ・イタリア、スーペルコッパ・イタリアーナがあり、個人賞としては2020-2021シーズンおよび2022-2023シーズンのセリエAチーム・オブ・ザ・イヤーにも選出されている。また、2023-2024シーズンにはセリエAベストディフェンダーの個人タイトルも獲得した。

イタリア代表での活躍

国際舞台でもバストーニの存在感は増している。彼はイタリアの各年代別代表チームで活躍し、2020年にロベルト・マンチーニ監督によりフル代表に初招集された。同年11月に行われたエストニアとの親善試合でフル代表デビューを飾り、チームは4-0で勝利した。2021年には、EURO 2020に出場し、イタリアが決勝でイングランドを破り優勝を果たした際、バストーニもメンバーの一員としてタイトルを手にした。2022年にはUEFAネイションズリーグで初ゴールを挙げ、2024年のEUROにも出場。グループステージではアルバニア戦で重要なゴールを決めたものの、イタリアはラウンド16で敗退した。

プレースタイル

ここからは、バストーニのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼のプレースタイルは従来のフィジカル中心のディフェンダー像を大きく超えており、インテリジェンスとテクニックを兼ね備えた選手として高く評価されている。

パス能力

バストーニの特徴的なプレーは、彼の技術力と戦術的な理解に基づくものである。彼は左足を利き足とし、ディフェンスラインからの正確なパスでゲームの流れを作り出す能力に優れている。インテル・ミラノでの2023-2024シーズンには、1試合あたり平均77本近くのパスを記録。特に長い対角線のパスや、前線への鋭いロングボールで攻撃の起点となり、相手ディフェンスを崩す場面が多い。これは、現代サッカーにおいて重要視される「ボールを扱えるディフェンダー」としての資質を示している。

攻撃参加の積極性

ボール保持時におけるバストーニの攻撃的貢献は、後方からのパス出しにとどまらない。彼は得点機会の創出にも積極的なタイプであり、特にボールを持ち運んで前線へ進出し、クロスを供給するプレーはインテルの攻撃において欠かせない要素となっている

シモーネ・インザーギ監督の下、バストーニはより柔軟な戦術の中でその能力を最大限に発揮している。インザーギ監督は流動的なシステムを採用しており、その中でバストーニは3バックの左CBとして守備だけでなく、攻撃参加も積極的に行っている。特に左サイドでのフェデリコ・ディマルコやヘンリク・ミキタリアンとの連携は絶妙で、攻守の切り替え時における役割の柔軟性がインテルの強みとなっている。このトリオは、左サイドでのビルドアップにおいて重要な役割を果たしており、相互にカバーし合いながらチームを支えている。

守備能力

守備面では、バストーニのフィジカルとポジショニングの巧さが光る。190cmの長身を活かした空中戦で強さを発揮し、セットプレーでは得点の機会を生み出す存在でもある。彼がピッチ上にいる時のインテルの失点率は非常に低く、2023-24シーズンに記録した「143分に1失点ペース」という統計からも、彼の守備への貢献度の高さが伺えるところだ。

また、バストーニのポジショニングとゲームの読みも特筆すべき点である。1対1の局面でも冷静に相手を封じ込める能力があり、時に高い位置から相手にプレッシャーをかける場面でも、その素早いリカバリー能力で危険を未然に防ぐことができる。彼の守備アクションには安定感があり、対人戦での強さはインテルの堅牢な守備を象徴している。

リーダーシップ

バストーニのプレースタイルに関してもう一つ重要なのは、そのメンタル面での成長である。若い頃から大きな期待を背負っていた彼は、経験を積むごとに精神的な成熟度を増しており、ピッチ内外でリーダーシップを発揮するようになった。特にボヌッチやキエッリーニといったイタリア代表のレジェンドディフェンダーから学んだことは、バストーニの成長に大きな影響を与えた。現在では、イタリア代表でも中心選手として活躍し、次世代のリーダーとして期待されている。

プレー動画

まとめ

アレッサンドロ・バストーニは、ディフェンダーとしての基本的なスキルに加え、ボール扱いの巧みさ、ポジショニングの正確さ、そしてメンタル面での強さを兼ね備えた選手である。彼のようなボールを持ってプレーできるセンターバックは、現代サッカーにおいてますます重要な役割を担うようになっており、その存在感はより一層増していくことだろう。今後もインテルやイタリア代表において、さらなる成長と活躍に期待したい。

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