アルフォンソ・デイヴィスのプレースタイルを徹底解説:驚異のスピードを誇る爆速サイドバック

選手紹介

アルフォンソ・デイヴィスデイビス)は、カナダ代表のサッカー選手である。現在はドイツのバイエルン・ミュンヘンに所属し、圧倒的なスピードを武器に活躍を続けている。この記事ではそんなデイヴィスについて紹介していきたい。

基本情報・成績

生年月日2000/11/02
国籍カナダ
身長185cm
ポジションDF
利き足

キャリア初期

2016年、デイヴィスは15歳の若さでホワイトキャップスFC 2とプロ契約を結び、USLで最年少デビュー記録(15歳3か月)を樹立。若き才能として名を上げた。

その後、ホワイトキャップスのトップチーム(バンクーバー・ホワイトキャップス)に昇格したデイヴィスは、2016年から2018年までMLSで活躍。MLSでも攻撃的なドリブルとスピードを披露した彼は観客を魅了し、欧州からも大きな注目を集めることに。すると2018年7月、バイエルン・ミュンヘンがMLS史上最高額の移籍金でデイヴィスを獲得することを発表した。

バイエルンへの移籍

2019年1月、デイヴィスはバイエルンへと正式加入を果たす。当初はウインガーとして起用されたが、2019-20シーズンからは早くも左サイドバックのレギュラーに定着。同シーズンにはブンデスリーガ、DFBポカール、そしてUEFAチャンピオンズリーグの3冠を達成するチームの一員として活躍し、特にバルセロナとの準々決勝でのドリブルは大きな話題を呼んだ。こうした活躍により、同シーズンのブンデスリーガ最優秀新人賞に輝くだけでなく、ゴールデンボーイ賞の候補にも挙がるなど、世界的な評価を得るに至った。

その後もデイヴィスはバイエルンで活躍を続け、2024-25シーズンには同クラブで200試合目となる出場を達成。ただし、同シーズン限りで移籍するのではないかとの噂も浮上している。

カナダ代表キャリア

デイヴィスはカナダ代表としても早くから注目を集めている。カナダ国籍取得後すぐに代表デビューを果たすと、2017年にはConcacafゴールドカップで大会最年少得点記録を更新。また、2022年にはカナダ史上初のワールドカップゴールを決め、2024年からは代表キャプテンも務めるなど、カナダ代表の中心選手としての地位を不動のものとしている。

プレースタイル

ここからは、アルフォンソ・デイビスのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼のプレースタイルの中核を成すのはスピードであり、攻守における抜群のダイナミズムがチームに大きな影響をもたらしている。

抜群のダイナミズム

先述の通り、デイヴィスの最大の特徴といえるのがスピードだ。最高速度が37.1 km/hを記録しているスピードスターであり、爆発的な加速力で攻守に貢献。そのスピードによって、積極的な攻撃参加迅速なプレス/プレスバックをハイレベルで両立している。

また、彼はスタミナも凄まじい。試合終盤まで運動量を維持することができるため、守備では相手の裏への抜け出しを阻止しつつ、攻めては前方スペースへと一気に駆け上がる動きが最後まで続く。相手にとっては厄介極まりない選手だ。

ドリブル能力

デイヴィスのスピードは、そのドリブル能力にも大いに関係している。彼はドリブルで攻撃を仕掛ける能力が非常に高く、ボールを持ちながらスピードを保ち、相手ディフェンダーを置き去りにすることが可能だ。特にこれは、守備から攻撃への切り替えに際して抜群の効果を発揮する。

また、デイヴィスのドリブルスタイルはシンプルであるのが特徴的だ。派手な個人技を見せることは少なく、正確なタッチでボールをコントロールしながら最も効果的なルートを選択して進む。そのタッチは十分に長く、スピードに乗りやすいが、ボールが自分から遠ざかりすぎることはない。すなわち、デイヴィスはスピードを最大限に活用しつつも、常にボールのコントロールを保ちながら相手ディフェンダーをかわすことができるのだ。このシンプルながらテクニカルなスタイルにより、彼は欧州5大リーグのSBの中で最も多くの1対1突破を記録している(1試合平均で2.54回。2024年11月時点)。

プレスとカウンタープレス

続いて守備面に目を向けると、デイヴィスはプレスおよびカウンタープレスが非常に得意である。特に、相手の攻撃を早い段階で封じ込めるカウンタープレスにおいては、現代のサイドバックに必要なスキルを高いレベルで備えている。彼は相手に対して素早くプレッシャーを掛けるが、接近した後に速度を緩め、安易に飛び込むことなく相手の動きを抑制。このアプローチにより、相手は瞬時の方向転換や素早いパス回しが難しくなるだけでなく、後述するデイヴィス得意の1対1シチュエーションへと持っていきやすくなる。

また、彼のプレスによって相手の攻撃のスピードが抑えられるため、味方選手が守備の体制を整える時間を確保できる。これは特にチームがカウンターを受ける場面で有効であり、デイヴィスが迅速に相手にプレッシャーをかけることで、相手の速攻を未然に防ぐ役割を果たしている。このように、デイヴィスはプレスを単なるボール奪取の手段とするのではなく、味方の守備体制を整えるための時間を作るという点でも重要な役割を担っているのだ。

1対1のディフェンス

デイヴィスの守備の特徴として、冷静かつ堅実なアプローチが挙げられるだろう。特に1対1の場面では、相手選手に対して素早く寄せながらも無理にボールを奪おうとせず、相手のミスを待つ姿勢を保つのが印象的である。これは、彼の持つ圧倒的なスピードによる余裕に基づくものだ。

というのも、彼は自らがアクションを起こさずとも、相手が前方へドリブルで仕掛けてきた際に即座に追いつく能力がある。そのため相手に先に動かせ、そこからボールを奪うという個人戦術を採る傾向が見られるのだ。こうしたスタイルにより、相手にとってはデイヴィスに対して仕掛けること自体がプレッシャーとなる。純粋な1対1で彼のディフェンスを突破するのは容易ではないといえるだろう。

ウィークポイント

持ち前のスピードを存分に活用しているデイヴィスのプレースタイルだが、裏を返すと、そのスピードに依存しがちな点が彼の弱点として挙げられる。したがって、相手がデイヴィスのスピードを封じ込めるためにスペースを制限すると、彼のパフォーマンスが低下してしまう状況が少なくない。また、守備面に関しても細かい位置取り安定感が十分でなく、物理的なスピードが求められる状況以外の場面ではもっと精度を高めていきたいところだ。

加えて、デイヴィスはクロスやフィニッシュの精度に改善の余地がありゴール前の判断力がやや未熟である。さらには負傷頻度も低くないため、怪我が彼のスピード、延いては将来のパフォーマンスに悪影響を与えてしまうリスクが考えられる。

プレー動画

まとめ

アルフォンソ・デイヴィス(デイビス)は、世界最高峰の攻撃的サイドバックーの一人である。彼のプレースタイルは、主にスピードとボールコントロールを活かした積極的な攻撃参加、堅実な1対1の守備、迅速なプレスとカウンタープレスにより構成されている。これらの長所を活かし、彼はバイエルン・ミュンヘンとカナダ代表で重要な役割を担っている一方、プレー精度や判断力の更なる向上、そして負傷頻度の減少などが今後の要改善ポイントとして挙げられるだろう。バイエルンで台頭してきた頃の期待感と比較すると、十分に伸び切れていない感もあるだけに、これから更にもう一皮剥けることに期待したい。

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