アルバロ・モラタは、これまでヨーロッパのビッグクラブを何度も渡り歩きながら、各クラブでタイトルを獲得し、重要な役割を果たしてきた。複数のリーグでの経験と実績を持つ彼は、スペイン代表のキャプテンとしても国際大会で成功を収めており、まさにヨーロッパを代表するストライカーの一人である。この記事ではそんなモラタについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 1992/10/23 |
国籍 | スペイン |
身長 | 189cm |
ポジション | FW |
利き足 | 右 |
キャリア初期
モラタのキャリアは、アトレティコ・マドリードのユースチームでスタートしたが、2008年にレアル・マドリードの下部組織に移籍。2010年にトップチームデビューを果たし、数シーズンにわたりカスティージャ(レアル・マドリードB)で主力として活躍した。トップチームでは出場機会が限られていたが、2013-14シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグのタイトルを獲得するメンバーの一員となった。
ユベントスへの移籍
2014年にセリエAのユヴェントスへ移籍したモラタは、すぐにその才能を発揮した。移籍初年度からセリエA優勝とコッパ・イタリア制覇を達成し、翌シーズンも同様に国内の2冠を達成した。また、2014-15シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでは、準決勝で古巣レアル・マドリードを相手に得点し、決勝進出に貢献。決勝ではバルセロナに敗れたが、モラタはクラブと代表で注目を集める存在となった。
レアル・マドリードへの復帰
2016年、レアル・マドリードが買い戻しオプションを行使し、モラタは再びマドリードに戻った。このシーズンでは、リーガ・エスパニョーラとUEFAチャンピオンズリーグの2冠を達成。特にリーガでは15得点を挙げ、優勝に貢献した。しかし、依然としてカリム・ベンゼマのバックアップとしての役割が主であったため、モラタはより多くの出場機会を求め、翌年にチェルシーへ移籍することとなった。
チェルシーへの移籍
2017年、モラタはチェルシーと当時のクラブ記録となる移籍金で契約を結んだ。プレミアリーグでは、最初のシーズンにゴールを量産し、期待に応える活躍を見せたが、徐々に得点力が不安定になり、批判の対象となった。結局、チェルシーでの滞在は短期間で終わり、2019年1月にアトレティコ・マドリードにローン移籍。ここで、彼は再びスペインに戻り、徐々に得点感覚を取り戻していった。
スペイン・イタリアでの再挑戦
アトレティコ・マドリードでのローン移籍期間を経て、モラタは2020年に正式にアトレティコの選手となった。しかし、その後間もなくユヴェントスにローン移籍し、かつてのクラブで再度重要な役割を果たすことになる。ユヴェントスでの2シーズンでは、スーペルコッパ・イタリアーナを獲得し、リーグでも得点を挙げる活躍を見せたが、クラブは最終的に彼の買い取りオプションを行使しなかった。
2022年、モラタは再びアトレティコ・マドリードに戻り、リーガ・エスパニョーラでのプレーを続けた。彼はリーグ戦で13得点を記録し、チームの主力として活躍した。さらに、2023-24シーズンには自己最多の15得点を記録し、アトレティコの攻撃陣を支えた。
2024年には、ACミランに移籍し、再びセリエAでの挑戦を開始した。移籍後すぐに結果を出し、デビュー戦では得点を挙げるなど、イタリアでも再び存在感を示している。
スペイン代表としての活躍
モラタは代表チームでも輝かしい経歴を持つ。ユース時代にはスペインU17、U19、U21の各代表で活躍し、2013年のUEFA U-21欧州選手権ではゴールデンブーツ(得点王)に輝いた。2014年にスペインA代表として初出場を果たし、2016年のUEFA欧州選手権、2022年のFIFAワールドカップなどの国際大会にも出場している。2023年には代表チームのキャプテンに任命され、2024年のUEFA欧州選手権ではスペイン代表を優勝に導いた。
プレースタイル
ここからは、モラタのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼のプレースタイルは多面的であり、単なるゴールゲッターとしてではなく、チーム全体の中心として機能する能力を持っている。
ポジショニングと空中戦
モラタは、ポジショニングと空中戦の強さに定評がある。特に、ゴール前での動きやヘディングでの強さが際立っており、これが彼の得点力の一部を支えている。2023-24シーズンのラ・リーガでは、アトレティコ・マドリードで15得点を記録し、アントワーヌ・グリーズマンに次ぐ得点源としてチームに貢献した。彼のゴールの多くはペナルティエリア内でのシュートから生まれており、ポーチャー(ゴール前での得点を狙うフォワード)としての能力を発揮している。
モラタはまた、空中戦での競り合いにも強く、クロスボールに対して高い打点でヘディングシュートを狙うことができる。ACミランにおいても、モラタの空中戦の強さはクロスからのフィニッシュという点で重要な役割を果たすだろう。特に、サイドからのクロスに対して絶妙なタイミングで飛び込み、得点を狙う能力はミランの攻撃にとって大きな武器となる。
ボール保持と連携プレー
モラタのもう一つの大きな強みは、ボールを保持して味方選手との連携プレーを行う能力である。彼は特に短いパスでの連携を得意としており、相手の守備ラインと中盤ラインの間に落ちてボールを受け、攻撃の基点を作る役割を果たす。この動きによって、味方の中盤やウイングの選手にスペースを作り出し、攻撃の幅を広げることができる。
ただし、モラタのボール保持には課題もある。特に背後からのプレッシャーを受ける場面では、ボールを失いやすく、フィジカルな対戦で不利になることがある。彼は相手ディフェンダーのプレッシャーに対して比較的容易に倒れ込む傾向があり、これが守備側にとって有効な戦術となる場合もある。このため、モラタが持つボール保持能力を最大限に活かすためには、周囲に適切なサポートを提供するチームメイトの存在が重要となる。
縦への動き
モラタは、フィニッシャーとしての動きも非常に優れている。ゴール前でのポジショニングに加えて、縦への鋭いランニングが特徴であり、これがカウンターアタックや速攻の場面で非常に効果的に働く。彼は特に、ディフェンスラインの裏に抜け出す動きに優れており、この動きによって多くの決定機を作り出している。
なおACミランは近年、チームとして速攻を大きな武器としているため、モラタのダイナミズムが重要な役割を果たすことが期待される。彼のタイミングの良いランニングは、相手ディフェンダーを困惑させ、ゴールチャンスを生み出すことができる。特に、相手の守備が整っていない状況での速攻では、モラタの走り込みが鍵となるだろう。
守備貢献
モラタは、ボールのない場面でも積極的に動き回り、チームに貢献するタイプのフォワードである。彼は前線からのプレスをかける役割を担い、相手のビルドアップを妨害することができる。これにより、チーム全体の守備を高い位置で行うことが可能となり、相手にプレッシャーをかけ続けることで守備の負担を軽減する役割を果たしている。
特に、彼はアトレティコ・マドリード時代に守備的な役割を精力的にこなしており、ディエゴ・シメオネ監督の下で戦術的な守備意識を培ってきた。これにより、攻撃だけでなく、守備でもチームに貢献できる多才なフォワードとしての側面を持つ。
改善点
モラタの課題としては、フィニッシュの安定性が挙げられる。彼はシーズンを通じて15ゴール程度を挙げることはできるが、得点チャンスを逃す場面も多く見られる。特に、重要な試合やプレッシャーのかかる場面での決定力が不安定であり、これがしばしば批判の対象となる。
また、先述した通りボール保持時のフィジカル面でも改善の余地がある。モラタは強力なディフェンダーに対してフィジカルで劣勢になることがあり、これが彼の攻撃面での効果を削ぐ原因となることがある。彼がボールを失う場面が多いのも、このフィジカル面での弱点に起因している。
プレー動画
まとめ
アルバロ・モラタは、連動性、ポジショニング、空中戦での強さなど、多くの強みを持つフォワードである。また、クロスに対する動きや、守備ラインの裏を狙う縦へのランニングで数多くのチャンスを作り出せる。一方で、フィジカル面やフィニッシュの不安定さという課題もあり、彼が真価を発揮するには戦術的・組織的に適切な環境が必要だ。それがあれば、モラタはミランでも大きな貢献を果たすことができるだろう。