クリスチャン・プリシッチのプレースタイルを徹底解説:復活を遂げたアメリカの俊英アタッカー

選手紹介

クリスチャン・プリシッチは、現在アメリカ代表およびACミランで活躍しており、復活を遂げたそのパフォーマンスが再び注目を集めている。プレミアリーグではケガに悩まされたものの、セリエAの戦術的な環境で、その才能を存分に発揮しているところだ。この記事ではそんなプリシッチについて紹介していきたい。

基本情報・成績

生年月日1998/09/18
国籍アメリカ
身長177cm
ポジションMF/FW
利き足

キャリア初期

クリスチャン・プリシッチは幼少期からサッカーに情熱を持ち、地元のクラブであるPAクラシックスや、イギリスに滞在していた際にはブラックリー・タウンのユースチームでプレーした。その後、アメリカ合衆国サッカー開発アカデミー(USSDA)に参加し、その才能が評価され、2015年にドイツ・ブンデスリーガの名門クラブ、ボルシア・ドルトムントに加入することとなった。

ドルトムントでは、わずか15試合のユースチームでのプレーを経て、2016年1月にわずか17歳でトップチームに昇格した。トップチーム昇格後、プリシッチは順調にキャリアを積み重ね、2016–17シーズンにはドルトムントの主力選手として活躍し、DFBポカール優勝に貢献した。また、この時期にはUEFAチャンピオンズリーグでの活躍も目立ち、若干18歳にしてクラブ史上最年少でのチャンピオンズリーグゴールを記録した。2017年には「ゴールデンボーイ賞」にノミネートされるなど、世界的な若手選手としてその名を知られるようになった。

プレミアリーグ挑戦

2019年1月、プリシッチはプレミアリーグの強豪クラブであるチェルシーFCへ移籍した。移籍金は約7300万ドルであり、当時の北米出身選手としては最高額の移籍金であった。彼は2019–20シーズンからチェルシーでのプレーを開始し、初年度から重要な役割を果たした。同シーズン中、彼はバーンリー戦でプレミアリーグ初のハットトリックを達成し、チェルシーの最年少ハットトリック達成者となった。

2020–21シーズンには、チェルシーがUEFAチャンピオンズリーグで優勝を果たし、彼はアメリカ史上2人目のチャンピオンズリーグ優勝者となったことで世界的な注目を集めた。また、チェルシー在籍中にはUEFAスーパーカップやFIFAクラブワールドカップでもタイトルを獲得し、クラブレベルでの成功を確固たるものにした。

しかし、チェルシーでのキャリアは順風満帆とはいかず、度重なる負傷やクラブ内での競争の激化により、2022–23シーズンには出場機会が減少した。このため、彼は新たな環境を求めて移籍を決断することになる。

ミランへの移籍と復活

2023年7月、プリシッチはセリエAのACミランへ移籍した。移籍金は最大2200万ユーロであり、ミランにとっても大きな補強となった。移籍後、彼はすぐにチームにフィットし、シーズン序盤からゴールを量産し始めた。ボローニャを相手にしたセリエAデビュー戦では早速ゴールを決め、その後も連続して得点を重ねた。

2023–24シーズンでは、ミランのトップスコアラーの一人として活躍し、チームの重要な得点源となっている。プリシッチはセリエAでもそのスピードとテクニックを発揮し、ゴール前での冷静なフィニッシュも高く評価されている。移籍初年度からすでにセリエAでのアメリカ人最多ゴールを記録するなど、ミランの攻撃の中心選手として確固たる地位を築いている。

アメリカ代表での活躍

プリシッチはアメリカ代表としても重要な役割を果たしている。2016年に17歳で代表デビューを果たし、最年少キャプテンとしても記録を打ち立てた。彼はCONCACAFゴールドカップやネイションズリーグでの活躍が目覚ましく、2021年、2023年、2024年と連続してネイションズリーグ優勝に貢献している。また、2022年のFIFAワールドカップでは、アメリカ代表の攻撃の中心として、ゴールやアシストを記録し、チームをノックアウトステージに導いた。

代表戦では、プリシッチは常に重要な役割を担い、アメリカサッカーの「顔」として期待され続けている。特に彼のリーダーシップはチーム全体に影響を与えており、ピッチ内外での存在感は大きい。ワールドカップやCONCACAF大会での活躍により、彼はアメリカ代表史上最高の選手の一人と称されている。

プレースタイル

ここからは、プリシッチのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼のプレースタイルは主にスピードとテクニック、そして判断の早さを基盤としており、俊敏な動きによってスペースを効果的に突いていくことが可能だ。

プレーの幅

プリシッチの最大の武器は、左右両足を自在に使いこなせる点である。特に右足でのフィニッシュが得意だが、左足でも鋭いシュートを放つことができ、プレーエリアの制約を受けにくい。彼は主に右ウィングで起用されるが、攻撃的ミッドフィルダーや左ウィングとしてもプレー可能であり、試合中にポジションを自在に変えながら、相手の守備組織を撹乱していく。

スペースへの侵入と冷静なフィニッシュ

プリシッチは、相手ディフェンスラインの裏に抜ける動きも特徴的である。常にスペースを探し、ディフェンダーの間に走り込んでパスを引き出し、ゴールチャンスを作り出す。また、ボールを受けた後は、内側にドリフトしてから正確なパスやシュートを選択することが多い。彼のシュートは、パワーよりも精度を重視しており、狭い角度からでも正確にゴールを狙う技術を持っている。

シンプルかつ効果的なドリブル

プリシッチは、ボール保持やドリブルにも秀でており、相手ディフェンダーを巧みにかわしながら前進することができる。彼のドリブルスタイルはシンプルであり、無駄のない動き(主にスピードとボディコントロール)で相手の守備を突破していく。加えて、タイトな状況でもボールをキープし、チームメイトと連携しながらボールを運ぶ能力も高い。

集中力とリーダーシップ

プリシッチのプレーには、試合全体を通じて高い集中力が感じられる。彼は常に相手ゴール前でのチャンスを探し続け、決定機を逃さずに結果を出す選手である。また、代表戦では強いリーダーシップを発揮し、2022年のワールドカップやネイションズリーグでチームを牽引してきた。彼はアメリカ代表の中心選手として、攻撃の起点となり多くの得点やアシストに関与している。

プレー動画

まとめ

クリスチャン・プリシッチは多才であり、高い技術とインテリジェンスを兼ね備えた選手である。プレミアリーグでの挫折から復活を遂げた今、彼の存在はACミランとアメリカ代表にとって欠かせないものとなっている。また、アメリカでも開催される2026年のワールドカップを控えた中で、サッカー界におけるプリシッチの存在感と重要性はますます高まっていくだろう。

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