クリストファー・エンクンクは、フランス出身のアタッカーである。現在はイングランド・チェルシーでプレーしており、優れた得点能力を披露しているところだ。この記事ではそんなエンクンクについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 1997/11/14 |
国籍 | フランス |
身長 | 177cm |
ポジション | MF/FW |
利き足 | 右 |
キャリア初期
エンクンクのプロキャリアはフランスのパリ・サンジェルマンで始まった。2015年12月にデビューを果たすと、計4シーズンのプレーで78試合に出場。11ゴール・4アシストを記録し、3回のリーグ優勝と2回の国内カップ優勝などを経験した。
ライプツィヒへの移籍
2019年7月、エンクンクはドイツのライプツィヒへと移籍。彼はここで才能を一気に開花させ、シュート精度やフィジカル能力といった部分が大きく向上した。その結果、ライプツィヒでの計4シーズンで172試合に出場し、70ゴール・56アシストと見事な成績を記録。この活躍により、ライプツィヒでDFBポカール(ドイツカップ)を2度制し、クラブの歴史に大きな足跡を残した。また、彼は個人としてもドイツ年間最優秀選手賞や2022-23シーズンのリーグ得点王のタイトルを獲得している。
チェルシーへの移籍
2023年7月、エンクンクはイングランドのチェルシーへと約5200万ポンドの移籍金で加入した。プレシーズン中の負傷により大きく出遅れ、同年12月にようやく公式戦デビュー。その直後のリーグ戦では待望の初ゴールも記録している。
フランス代表キャリア
2022年3月、エンクンクはフランスA代表デビューを果たした。そのまま代表に定着するかに思われたが、負傷により招集から遠ざかる日々が続くことに。しかし、2024年10月には久々の招集・スタメン出場でゴールという結果を残し、アピールに成功している。
プレースタイル
ここからは、エンクンクのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼は攻撃的MF/セカンドストライカーを本職とするが、左ウイングや最前線のストライカーとしてもプレー可能である。
チャンスメイク能力
エンクンクはライン間や左ハーフスペースを得意エリアとしており、そこから積極的に仕掛けることでチャンスを作り出していく。卓越したボールコントロール・タッチを活かしたドリブルで相手ディフェンダーを引き付け、スペースを創出。そして、そのスペースへ走り込む味方に正確なパスを供給する形がエンクンクの十八番である。ライプツィヒでプレーしていた2022ー23シーズン、彼はブンデスリーガのフォワードの中で最も多くのスルーパス(相手ディフェンスラインの間を通すパス)を成功させていた。
また、エンクンクの良さはボールを持った時だけではない。自らが前方スペースに飛び出してチャンスを作りだす感覚にも長けているため、味方との連携プレーでゴール前に侵入し、ラストパスやシュートへと繋げていく能力も高い。このように、ドリブラー、パサー、フィニッシャーといった多様な側面を組み合わせてハイレベルにプレーできるのがエンクンクの大きな魅力である。
シュート能力
次に、エンクンクのフィニッシュ能力について深堀する。彼は右足だけでなく左足でも安定したシュートを放つことが可能だ。特に1対1のシーンでの落ち着きが際立っており、キーパーの対応を見ながら冷静にコースを突き、ネットを揺らす場面も多い。
また、ペナルティエリア内においても、エンクンクは正確なボールタッチと優れた加速力を活かし、ドリブルで相手を躱すプレーが印象的である。スピードの変化を巧みに操ることで相手を惑わし、シュートチャンスを自ら生み出すのだ。
守備能力とカウンター
守備面に関し、エンクンクは積極的とまではいえないものの、基本的な守備技術は備えている。ライプツィヒで学んだことでプレスやタックルは年々改善傾向にあり、状況に応じて相手ゴールキーパーにまでプレッシャーをかけ、相手のミスを誘発するプレーも見られる。
また、チームがボールを奪った後のトランジション(カウンター)の局面はエンクンクの見せ場の一つである。自らドリブルでボールを持ち運んだり裏のスペースに飛び出したりと、持ち前のスキルを存分に発揮して決定機を演出するのだ。
適性なポジション・役割
先述した通り、エンクンクの魅力はドリブラー、パサー、フィニッシャーとしての多様かつハイレベルな側面を組み合わせたプレーにあり、これらの能力をゴール前で思う存分発揮することで多くのゴール・アシストを積み重ねることができる。したがって、彼に最も合ったポジションはセカンドトップや、(ビルドアップの負担が少ない)攻撃的MFといえるだろう。
一方でウィンガーとしての起用は、彼の本来の能力を活かしきれないことが多い。サイドに開いて1対1を仕掛け、縦突破からクロスを上げるといったプレーもできなくはないが、そうした純粋な縦への突破力だけでいえば、彼よりも適したプレイヤーは他にいるだろう。しかも、そうしたプレーの比重が増すことで、ゴール前で強みを発揮する機会が減少してしまう。
また、エンクンクを最前線のストライカーとして起用する場合も問題が生じやすい。その形は彼の前方向へのパスセンスが活かされにくくなるだけでなく、苦手な空中戦を強いられるケースも増えるだろう。したがって、エンクンクをウイングやセンターフォワードで起用する場合は、彼の持ち味が十分に発揮されるような戦術的工夫が求められるはずだ。
ウィークポイント
先にも少し触れた守備能力や空中戦については、今後更なる改善が求められるだろう。しかし、それよりも早急に解決すべきは怪我の多さである。
もともとは怪我の少ない選手であったが、2022年11月に負った膝の靱帯断裂以降、負傷離脱の頻度や期間が増加してしまっている。鳴り物入りでチェルシーに加入した2023ー24シーズンも開幕から欠場が続き、シーズンの大半を棒に振ってしまった。
2024ー25シーズンは11月時点で怪我無くプレーできているが、ここまでは出場時間が限られている点に注意すべきだろう。素晴らしい実力を持っているだけに、再びレギュラーとして継続的にプレーできるようになれるかどうかが今後のキャリアを左右する重要なポイントになりそうだ。
プレー動画
まとめ
クリストファー・エンクンクは冷静な判断力と高い技術力を兼ね備えた選手である。パスセンス、ドリブル、ゴール前での決定力といったものが彼のプレーの中核を成しており、その能力をフルに発揮すれば、チェルシーの豪華な攻撃陣においても重要な存在となれるだろう。まずは怪我することなく継続的にプレーを続け、コンディションを高めていきたいところだ。