ダヨ・ウパメカノのプレースタイルを徹底解説:身体能力とスキルを兼ね備えたフランスの砦

選手紹介

ダヨ・ウパメカノは、フランス出身のセンターバックである。現在はバイエルン・ミュンヘンとフランス代表でプレー。圧倒的な身体能力と多才なスキルを有し、クラブと代表の両方で重要な存在となっている。この記事ではそんなウパメカノについて紹介していきたい。

基本情報・成績

生年月日1998/10/27
国籍フランス
身長186cm
ポジションDF
利き足

キャリア初期

2013年、ウパメカノはヴァランシエンヌのユースチームに加入。当時から恵まれた体格を有し、アグレッシブなセンターバックとしての才能を順調を開花させていった。

すると2015年、ウパメカノはオーストリアのレッドブル・ザルツブルクに移籍。最初はリーフェリング(セカンドチーム)でプレーすることになったが、2016年に入りトップチームデビューを果たした。翌2016-17シーズンにはレギュラーに定着し、リーグやヨーロッパリーグに出場。そこで彼が見せた身体能力や守備力が評価され、2017年1月にはドイツ・RBライプツィヒに移籍することとなった。

ブンデスリーガでの活躍

ウパメカノは、ライプツィヒで5シーズンにわたりプレーし、中心選手として活躍。時には怪我による離脱もあったが、計154試合に出場して4ゴール・3アシストを記録。チャンピオンズリーグでも存在感を示し、2020年にはゴールデンボーイ賞の候補に名を連ねるなど、欧州トップクラブから注目を集める存在となった。

そして2021年、バイエルン・ミュンヘンがウパメカノの契約解除金を支払うことで、5年契約での移籍が実現。彼はバイエルンでも瞬く間にレギュラーに定着し、2021-22、2022-23シーズンのブンデスリーガ連覇に貢献。個人としてもブンデスリーガやUEFAチャンピオンズリーグでのベストイレブンに複数回選出されるなど、2024-25シーズンに至るまで攻守両面での貢献を続けている。

フランス代表キャリア

ウパメカノは、フランス代表としても多くの経験を持つ。U-17代表ではUEFA U-17欧州選手権で優勝し、大会のベストディフェンダーに選出されるなど、早くからその才能が評価されていた。

2020年にフランスA代表に初招集されると、2022年頃からレギュラーに定着。2022FIFAワールドカップ、EURO2024のいずれにおいても主力として奮闘し、チームの準優勝に大きく貢献した。

プレースタイル

ここからは、ウパメカノのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼は卓越した身体能力、スピード、ビルドアップ能力といった現代的CBに求められる要素を兼ね備えており、その幅広いプレーはバイエルンの攻守において重要な位置を占めている。

カバーリング能力

ウパメカノの大きな強みのひとつがスピードだ。ブンデスリーガで計測された彼の最高速度は35.67km/hに達しており、この数値は世界的にトップクラスである。そして、このスピードを存分に活かし、広範囲のエリアをカバーして相手の速攻を阻止する重要な役割を果たす。また、彼はトップスピードだけでなく瞬発力を兼ね備えているため、スピーディーな相手に対しても守備ラインの背後のスペースを迅速に管理し、その前進を食い止めることができるのが魅力だ。

対人守備

ウパメカノは、その頑強なフィジカルを活かした対人守備でも強さを発揮する。身長は186cmとセンターバックとしてはさほど高くないが、屈強な体格と身体能力に支えられたフィジカルコンタクトが非常に強く、球際において優位性を保つことが多い。また、ハイラインでプレーする際にも先述したスピード能力とフィジカルで一気に相手との距離を詰めてスペースを奪い、相手に思うようなプレーをさせない。これにより、チームはアグレッシブなプレッシングを実現することができる。

ビルドアップ能力

さらに、ウパメカノはビルドアップ能力にも優れている。巧みなボールコントロールと正確なパスにより、後方から攻撃の起点として機能。特に彼は視野が広く、左右へのロングパスを自在に操ることができるため、長短のパスでボールを前進させることが可能だ。ライプツィヒ時代やバイエルンで頻繁に見られるように、相手守備陣を一方向に引き寄せてから反対側へとパスを通す形は彼の得意とするプレーである。

また、ウパメカノはドリブルによってボールを運ぶこともできるため、相手のプレスやマークをかわして前方エリアへと進出する動きが可能だ。こうした動きは相手の守備陣形に迷いを生じさせるとともに、一方向に意識を集中させる効果があるため、自らのパスセンスが発揮されやすくなる。このように、彼は多才なプレーでバイエルンやフランス代表の攻撃の組み立てにおいても重要な役割を担っているのだ。

ウィークポイント

素晴らしいスキルと身体能力を兼ね備えるウパメカノだが、彼には明確なウィークポイントが存在する。集中力をかくきらいがあり、時おり致命的なミスを犯すことがあるのだ。しかもそれは、チャンピオンズリーグなどの重要な試合においても表れてしまう。

例えば、2022-23シーズンのチャンピオンズリーグ準々決勝・マンチェスターシティ戦では数々の軽率なミスを犯し、その結果チームは敗退。また、2023-24シーズンにもチャンピオンズリーグのラツィオ戦で一発退場し、直後のリーグ戦ではPKを献上してしまった。このようなミスは当然ながら突如として起こるため予測が難しく、試合の流れを一変させるため、ファンや評論家から批判を受けることも多い。特に、試合の大事な局面で発生するミスはチーム全体にとって痛手であり、バイエルンにおける不安要素と見なされることもある。

他方、フランス代表ではこれまで大舞台でも安定したパフォーマンスを披露してきたため、チーム環境や戦術などによってメンタル的な側面に違いが生じやすいタイプなのかもしれない。

プレー動画

まとめ

ウパメカノは高い身体能力とスピード、ボールスキルを持つ現代型センターバックであり、ビルドアップ能力を活かした攻撃面での貢献も高い選手である。一方、世界トップクラスとしての評価を確立するためには、クラブレベルにおける重要な試合でも安定したパフォーマンスを継続的に示す必要があるだろう。特にセンターバックの選手には安定性が強く求められるだけに、致命的なミスをなくしていきたいところだ。

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