フェデリコ・バルベルデは、現在レアル・マドリードに所属するウルグアイ出身のミッドフィルダーであり、様々な形でチームに貢献できる機能的な選手である。この記事ではそんなバルベルデについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 1998/07/22 |
国籍 | ウルグアイ |
身長 | 182cm |
ポジション | MF |
利き足 | 右 |
初期のキャリア
バルベルデは幼少期よりサッカーに熱中し、地元クラブのエストゥディアンテス・デ・ラ・ウニオンでキャリアをスタートさせた。その後、ウルグアイの名門ペニャロールに加入し、2015年に17歳でプロデビュー。ペニャロールではその年のウルグアイ・プリメーラ・ディビシオンで優勝し、早くから将来を嘱望される選手となった。
レアルマドリードへの移籍と活躍
2016年、バルベルデはスペインのレアル・マドリードに移籍し、まずはリザーブチームであるレアル・マドリード・カスティージャに所属した。カスティージャで安定したパフォーマンスを見せた後、2017年にスペインのデポルティーボ・ラ・コルーニャに1年間レンタル移籍。デポルティーボでは24試合に出場し、リーガ・エスパニョーラでの経験を積んだ。
2018年にレアル・マドリードに復帰し、同クラブのトップチームで本格的に活躍を始める。最初のシーズンでFIFAクラブワールドカップを制し、さらに2019-20シーズンにはラ・リーガ優勝に貢献した。特に2019年のスペイン・スーパーカップ決勝でのプロフェッショナルファウルが注目され、試合後には「マン・オブ・ザ・マッチ」に選出。このプレーはチームの勝利に大きく貢献し、広く賞賛された。
その後、バルベルデはレアル・マドリードの主力選手としてポジションを確立し、複数のタイトルを獲得。2021-22シーズンにはUEFAチャンピオンズリーグ決勝での決定的なアシストを記録し、レアル・マドリードの14回目の優勝に貢献した。また、2022-23シーズンには12ゴールを挙げ、コーチのカルロ・アンチェロッティが予言していた「シーズン10ゴール以上」を達成している。
ウルグアイ代表での活躍
国際舞台では、2017年にウルグアイ代表としてデビューし、以降は数々の国際大会に出場。2019年、2021年、2024年のコパ・アメリカ、2022年のFIFAワールドカップでプレーし、ウルグアイの中盤を支える存在として活躍している。特に2017年のFIFA U-20ワールドカップではシルバーボールを獲得し、将来を期待される選手として名を馳せた。
プレースタイル
ここからはバルベルデのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼のプレースタイルは非常に幅広く、攻撃と守備の両方において重要な役割を果たしている。また、近年は成長が著しく、プレーの幅と質も向上しているところだ。
攻撃面での貢献
バルベルデは、攻撃時に大きな脅威となる選手である。彼はボックス・トゥ・ボックスのミッドフィルダーとして、敵陣深くまで進出し、チームの攻撃に深く関与していく。具体的には持ち前のスピードとスタミナを活かしてピッチの広範囲をカバーしつつ、敵陣深くに侵入した際には、クロスやシュートで得点チャンスを作り出すというものだ。
彼の攻撃における具体的な貢献として、2024-25シーズン序盤には既に2ゴールを記録している。1つはUEFAスーパーカップでのゴールであり、ヴィニシウス・ジュニオールからの低いクロスに合わせ、6ヤードボックス内で冷静にシュートを決めた。もう1つはリーグ戦でのロングシュートであり、バルベルデのパワフルなシュート能力を示している。これにより、バルベルデがゴール前で無視できない存在であることが明確になった。
さらに、彼のプログレッシブキャリー(ボールを前方に運ぶ動き)が攻撃面で非常に重要な役割を果たしている。2023-24シーズンからは特にこの数値が向上しており、1試合平均3.86回のプログレッシブキャリーを記録。このデータからもわかるように、バルベルデは単にパスで攻撃を展開するだけでなく、自らボールを前方に運び、攻撃の流れを生み出す役割を担っているのだ。
守備面での貢献
バルベルデの守備力もまた、レアル・マドリードにとって欠かせない要素である。彼は中盤のバランスを保つ役割を担うことで、チームの守備陣をサポート。特に2024-25シーズン序盤では、3試合で6回のインターセプトを成功させるなど、その守備力の高さが際立っている。さらに注目すべき点は、彼が依然としてファウルを犯さずにこれだけの守備貢献をしていることである。これは、バルベルデのディフェンスにおける知性とポジショニングの正確さを示しているといえるだろう。
また、バルベルデは守備面でのアグレッシブさも発揮している。彼のタックル成功率は年々向上しており、2023-24シーズンには相手ドリブラーに対するタックル成功率が66.7%を記録。彼はスピードとタイミングを駆使し、相手の攻撃を未然に防ぐ能力に優れている。特にカウンタープレス時には、その機動力と判断力が活かされ、相手チームの攻撃を封じ込める役割を果たしているのだ。
戦術的な柔軟性
戦術面でもバルベルデは非常に重要な役割を担っている。彼はレアル・マドリードのシステムに柔軟に対応し、試合の状況やフォーメーションに応じてさまざまなポジションでプレーすることが可能だ。例えば2023-24シーズンから2024-25シーズン序盤にかけて、チームのフォーメーションが4-4-2から4-3-3に変更されたときも、バルベルデは右サイドのミッドフィルダーとして幅広いエリアをカバーすることで、攻撃と守備のバランスを保っている。彼はしばしば中盤の深い位置から攻撃を組み立てる役割を果たし、時にはサイドに流れてクロスを供給する場面も多い。
また、トニ・クロースが退団し、バルベルデが背番号8を引き継いだことで、彼には新たな責任が課せられている。クロースのようなプレーメーカーとしての創造力は発揮しきれていないものの、バルベルデはその代わりにスピードとスタミナ、そしてボールを前に進める力(推進力)を活かしてチームに貢献。さらに彼のパス成功率も年々向上しており、特にショートパスとミドルパスにおいては高い精度を誇っている。実際に2023-24シーズンでは、ショートパスの成功率が95.7%に達し、ミドルパスも91.3%の成功率を記録した。
攻守のバランスと今後の期待
先にも触れたとおり、バルベルデの最大の特徴は、攻守にわたるバランスの取れたプレーである。彼は攻撃においてはゴールチャンスを作り出し、守備においては相手の攻撃を未然に防ぐ。そのエネルギッシュなプレースタイルは、試合の流れを変える力を持っており、チームメイトにポジティブな影響を与えている。彼のパフォーマンスは、特にクロースやモドリッチといったベテラン選手の役割を異なる形で引き継ぐうえで、重要な意味を持っているといえるだろう。
今後の課題としては、より多くのアシストを記録するなど、攻撃面での創造性をさらに発揮することが求められる。また、彼はボールの配給において安定こそしているが、クロースのようにチームの攻撃をオーガナイズする役割を果たすには、まだまだ改善の余地がありそうだ。
プレー動画
まとめ
フェデリコ・バルベルデは、レアル・マドリードの中盤で欠かせない存在となっている。攻守両面で多彩な貢献を果たし、そのエネルギッシュなプレースタイルはチームにとって非常に貴重である。今後のさらなる成長が期待される選手であり、彼が引き続きチームの中心選手として活躍することは間違いない。バルベルデのプレースタイルは、まさに現代サッカーにおけるミッドフィルダーの一つの理想形といえ、今後のキャリアにも大いに注目が集まるだろう。