ハカン・チャルハノールは、トルコ代表のミッドフィルダーである。現在はインテルでプレーし、その優れたキック力を駆使して活躍しているところだ。この記事ではそんなチャルハノールについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 1994/02/08 |
国籍 | トルコ |
身長 | 178cm |
ポジション | MF |
利き足 | 右 |
キャリア初期
チャルハノールはカールスルーエSCの下部組織でキャリアを開始し、2011年にプロ契約を締結。その後、2013ー14シーズンよりブンデスリーガのハンブルガーSVでプレーし、超長距離フリーキックを決めるなどして注目を集めた。すると2014‐15シーズンからはレヴァークーゼンに移籍し、その後3シーズンの在籍で公式戦115試合に出場。28ゴール・29アシストを記録した。
ミラン・インテルへの移籍
2017年、チャルハノールはイタリア・セリエAでの挑戦を始めた。まずは同年7月にACミランに移籍し、計4シーズンの間プレー。加入当初は異なる環境への適応に苦戦し、フィット後も浮き沈みの大きいパフォーマンスが続いたが、それでもレギュラーとして計172試合に出場して32ゴール・48アシストを挙げた。
すると2021年7月、チャルハノールはミランとの契約満了を機にフリーでインテルへと移籍。ライバルクラブへのフリー移籍は大きな反響を呼んだ。しかし、加入当初からレギュラーに定着した彼は、ミラン在籍時代よりも優れたパフォーマンスを披露。2021ー22シーズン、および2022-23シーズンは国内カップ戦を制し、2023-24シーズンはリーグ優勝を果たした。また、個人としても2023-24シーズンにはセリエA最優秀MF賞を受賞している。
トルコ代表キャリア
2013年9月、チャルハノールはトルコA代表デビュー。2015年頃から代表の主力に定着した。チーム事情に応じて様々なポジションでプレーし、EURO(欧州選手権)にも2016年、2021年、2024年と3大会連続で出場。現在は代表キャプテンを務めている。
プレースタイル
ここからは、チャルハノールのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。2021年にミランからインテルへと加入した彼は、名将シモーネ・インザーギ監督の下で適切なポジション・役割を与えられ、今や世界屈指のミッドフィールダーの一人と評価されるに至った。
キック能力
チャルハノールの最大の特徴といえば、何といっても強力かつ正確なキック力である。かねてから「セットプレーのスペシャリスト」として知られており、これまでフリーキック・コーナーキックから多くのゴールを演出してきた。更にペナルティキックの名手でもあり、PKを19回連続で成功した記録を持っている。
また、彼のキックの魅力はセットプレー時だけに留まらない。中長距離からのパスやシュートも大きな武器であり、これによりチームの攻撃に多くの選択肢をもたらしている。
レジスタとしての資質
チャルハノールは「レジスタ」としての資質を持っており、現在所属しているインテルでは主にアンカーでプレー。そして、チームがポゼッション時の流動的な動きや迅速な切り替えを重視する中、チャルハノールはそうした戦術下で重要な役割を果たしている。持ち前の広い視野と優れた認識能力、そして先述したキック能力を組み合わせることで、緩急・距離ともに自由自在のパスを繰り出してチームをコントロールしているのだ。不意に放たれる前線へのキラーパスが決定機に繋がる場面も少なくなく、そうしたパス能力だけでいえば、あの伝説的レジスタであるアンドレア・ピルロとも比較されるほどである。
守備能力
また、チャルハノールは守備面でも重要な役割を担っている。もとより豊富な運動量を活かして積極的にプレスをかけるタイプであったが、インテルのシステムにおいては守備的MFとしてより広範な役割を担当。持ち前のアグレッシブなプレスだけでなく、素早く危険なスペースを埋めてパスコースを塞いだりと、チームの組織バランスを保つ上で献身的にプレーしている。
ウィークポイント
チャルハノールは身体能力に恵まれたタイプではなく、スピードやフィジカルが不足がちだ。加えてボールコントロール・タッチもトップレベルとは言い難い。したがって、ドリブルで相手を抜き去ったり、独力でプレスを回避したりする能力には難がある。
ミラン在籍時代、チャルハノールは2列目アタッカー(主に攻撃的ミッドフィルダー)の位置で起用されていたため、そうした弱点が露呈していた。在籍時代終盤にはリンクマンとして優れた機能性を見せたものの、独力による打開能力の低さはいかんともし難く、特にチームが劣勢の時に出来ることは限られていた。そのため、当時は「好不調の波が激しい選手」という評価が定着したほどだ。
しかし先述した通り、インテルではそうした短所を補いつつ、長所であるキック(パス)能力を最大限活かす形で起用されている。非常に優秀な選手だが、その魅力を十分に引き出すには高度な組織力と同選手の能力に対する正確な把握が求められそうだ。
プレー動画
まとめ
インテル加入当初はミランでの不安定なパフォーマンスにより懐疑的な声もあったが、今では安定感のある選手として高く評価されているハカン・チャルハノール。インザーギ監督のもとで適応力を発揮し、攻守において非常に重要な選手として進化を遂げている。30歳を迎え、円熟味も増してきた彼のプレーには今後も注目していきたい。