ジョシュア・ザークツィーのプレースタイルを徹底解説:ユニークな特徴を持った有望ストライカー

選手紹介

ジョシュア・ザークツィは、オランダ出身のストライカーである。そのユニークかつ魅力的なプレースタイルで評価を高めた彼は、2024-25シーズンよりマンチェスター・ユナイテッドへ移籍。多くの注目と期待が集まっているところだ。この記事ではそんなザークツィについて紹介していきたい。

基本情報・成績

生年月日2001/05/22
国籍オランダ
身長193cm
ポジションFW
利き足

キャリア初期

ザークツィーは5歳でVVヘケリンゲンに入団し、その後スパルターン’20ADOデン・ハーグフェイエノールトのユースチームを経て、2017年にドイツのバイエルン・ミュンヘンの下部組織に加わった。

2019年にはバイエルン・ミュンヘンIIでデビューし、すぐにシニアチームに昇格。同年12月にはチャンピオンズリーグでトッテナム戦に出場し、さらにブンデスリーガのフライブルク戦で劇的な決勝ゴールを挙げる活躍を見せた。このシーズン、バイエルンでリーグ優勝、DFBポカール、UEFAチャンピオンズリーグの三冠を達成したが、バイエルンでの出場機会は限定的であった。

そこで2021年2月、ザークツィーはイタリアのパルマにレンタル移籍。しかしながら、負傷によりわずか4試合の出場にとどまってしまった。

ボローニャでの躍進

2021年8月、今度はベルギーのアンデルレヒトにレンタル移籍。そこではチームの中心選手として見事な活躍を見せ、公式戦47試合で18ゴール・13アシストを記録した。

すると、翌2022年にはイタリアのボローニャに完全移籍。加入2年目となる2023-24シーズンには、リーグ戦でクラブトップとなる11ゴール、さらには5アシストを挙げ、チームのチャンピオンズリーグ出場権獲得に貢献した。

そして、2024年7月にはイングランドのマンチェスター・ユナイテッドに移籍。デビュー戦で決勝ゴールを決める幸先の良いスタートを切った。

オランダ代表キャリア

2016年、ザークツィーはオランダU-15で代表キャリアをスタート。2024年のUEFA欧州選手権にてA代表デビューを果たし、今後は更なる活躍が期待されている。

プレースタイル

ここからは、ザークツィーのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。190cmを超える高身長ストライカーである彼だが、そのプレースタイルは現時点で一般的な大型ストライカーとは異なり、良くも悪くもユニークなものである。

積極的なゲーム参加

ザークツィーはただ最前線に構えるのではなく、積極的に下がってきてゲームメイクに関与する「フォルスナイン(偽9番)」的なタイプだ。ボールキープ能力に優れた彼は、敵のプレッシャーをいなしながらスペースを創出・利用することが可能。相手を引き付けてスペースと時間を作り出し、周囲の味方へパスを叩くといった形により、攻撃の起点として頻繁に機能する。

また、ワンタッチ・ツータッチのパスによるチャンスメイクも上手い。テクニック広い視野を有しているため、味方が前方スペースへと走り込む動きを認識し、そこへ正確かつ素早くパスを送り込むことができるのだ。

巧みなドリブル

ザークツィーはドリブル能力も特徴的だ。2023-24シーズンのセリエAでは1試合平均で4.18回ドリブル突破を試みており、相手のプレッシャーをただ受け止めるだけでなく、前を向いて仕掛けることができる。両足を使った巧みかつキレのあるフットワークによって相手を躱し、積極的にチャンスを演出。先述したパス能力も合わさることで、多くのチャンスを生み出すことが可能となるのだ。

シュート能力

ザークツィーは両足でシュートを撃つことができる。また、フェイントを使い相手を欺く力に長けているため、相手からすればシュートのタイミングを読むのが難しい。したがって、ザークツィーは相手ディフェンダーのブロックやゴールキーパーの飛び出しをフェイントで躱し、隙を突いたシュートでネットを揺らすという形を得意としている。

しかしながら、彼のシュートにはいくつか課題も見受けられる。まずキック力が十分ではないため、ゴールキーパーに止められることが多い。また、同様の理由によりシュートのバリエーションにも乏しい。シュートの際にパワーが必要な場面では限定的であり、ゴール前での確実性に欠ける場面が多々見られる。

フィニッシャーとしての弱点

その他にもザークツィーのウィークポイントは存在する。193cmの高身長にもかかわらず、空中戦でのデュエル成功率が低く、ヘディングの精度にも欠けている。実際、彼のヘディングはパワーや精密性に欠け、特にゴール前でのヘディングシュートが得点に結びつくケースは非常に少ない。

また、彼のポジショニングはしばしば深くなりすぎる傾向があり、これによりゴール前の決定的な位置にいる頻度が減少してしまう。先述したプレースタイル(積極的なゲーム参加)の影響もあり、ゴール前に飛び込む意識がストライカーとしては希薄のため、フィニッシュでの存在感が薄れる場面が少なくない。

プレー動画

まとめ

ザークツィーは万能型ストライカーとしての素質を十分に秘めているが、現時点では「フォルスナイン」としての役割に最も適しており、純粋なフィニッシャーというよりも攻撃の組み立てや連携で貢献する選手である。非常に魅力的な能力を有している一方、まだまだ改善の余地を残している選手でもあり、特にポジショニングの意識やフィニッシュ精度の改善が必要だ。しかしながら、彼の持つポテンシャルが十分に引き出された場合、世界トップクラスのフォワードの地位に到達することも現実的だろう。無事に更なる成長を遂げ、期待通りの活躍を披露することができるか注目の選手である。

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