ジュード・ベリンガムは、2003年6月29日にイングランドのスタウアブリッジで生まれたプロサッカー選手である。現在はレアル・マドリードに所属し、またイングランド代表としてもプレー。彼は世界トップクラスのミッドフィールダーと称され、その卓越した技術や戦術的な柔軟性で知られている。この記事ではそんなベリンガムについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 2003/06/29 |
国籍 | イングランド |
身長 | 186cm |
ポジション | MF |
利き足 | 右 |
初期のキャリア
ベリンガムは幼少期からサッカーに取り組み、2009年にスタウアブリッジ・ジュニアーズでキャリアをスタートさせた。その後、バーミンガム・シティのユースチームに加入し、14歳でU18チーム、15歳でU23チームに昇格。2019年8月、わずか16歳38日でバーミンガム・シティのトップチームデビューを果たし、クラブ史上最年少の出場記録を更新した。同年にはリーグ戦で4ゴールを記録するなど、クラブの主力選手として活躍している。
ドルトムントへの移籍
2020年7月、ベリンガムはドイツのボルシア・ドルトムントに移籍。移籍金は推定2500万ポンドで、当時の17歳の選手としては史上最高額であった。ドルトムントでのデビュー戦では、DFBポカールでゴールを決め、クラブの史上最年少得点記録を更新。彼はその後のシーズンでドルトムントの中心選手となり、2020-21シーズンにはドイツ国内カップ戦(DFBポカール)優勝を果たしている。
2021-22シーズン以降、ベリンガムはさらに成長を遂げ、特に2022-23シーズンにはブンデスリーガ年間最優秀選手賞を獲得。彼の活躍によりドルトムントはリーグ戦で2位となり、ベリンガム自身もヨーロッパで最も優れた若手選手に贈られる「コパ・トロフィー」と「ゴールデンボーイ賞」を受賞した。
レアル・マドリードへの移籍
2023年6月、ベリンガムはスペインのレアル・マドリードに移籍。移籍金は1億300万ユーロ(約150億円)で、これによりベリンガムはレアル・マドリード史上6人目のイングランド人選手となった。移籍後すぐに彼は大きなインパクトを残し、2023-24シーズンのラ・リーガ開幕戦でゴール。その後も連続してゴールを挙げ、瞬く間にリーグ得点ランキングのトップに躍り出た。また、10試合で10ゴールという記録を打ち立て、同クラブの伝説的選手であるクリスティアーノ・ロナウドと並ぶ偉業を達成している。
その後もレアル・マドリードの中心選手として活躍を続け、クラブのリーグ優勝やUEFAチャンピオンズリーグ制覇に貢献。ベリンガムは特にエル・クラシコでの劇的な勝利をもたらしたゴールで注目を集め、その多才なプレースタイルとリーダーシップが高く評価されている。2023-24シーズン終了時にはラ・リーガ最優秀選手賞を受賞するなど、その実力を世界に知らしめた。
イングランド代表での活躍
ベリンガムはイングランド代表としても目覚ましいキャリアを築いている。各年代別代表を経て、2020年11月に17歳でフル代表デビュー。現在、すでに彼はUEFA欧州選手権2020、2022年FIFAワールドカップ、そしてUEFA欧州選手権2024といったメジャーな国際大会に出場。特に2022年のワールドカップではイラン戦で初ゴールを決めたことで、イングランド代表史上2番目に若いワールドカップ得点者となった。
2024年のEUROでも、彼は主力選手としてチームを牽引し、決勝進出に貢献。ベリンガムはその力強いプレーとゴールで観客を魅了し、イングランドの将来を担う選手としての地位を確立している。
プレースタイル
ここからはベリンガムのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼のプレースタイルは、その若さにもかかわらず非常に多彩で成熟したものだ。フィジカルとテクニックのバランスが抜群であり、攻撃的な役割から守備的な役割まで幅広くこなすことができる。
フィジカルとテクニックの融合
ベリンガムのプレースタイルを語る上で、まず注目すべきはそのフィジカルとテクニカルな能力の高さである。彼は186cmの長身と、それに見合った強靭な体格を有し、ディフェンダーとの競り合いでも決して劣らない。さらに、彼はスピードと持久力にも非常に優れており、試合を通じてピッチの広範囲をカバーできる。中盤でボールを奪取し、すぐさま速攻に転じる一連の得意プレーは、彼の極めて優れたダイナミズムを如実に表しているといえるだろう。
加えて、彼は非常に優れたテクニックを持ち、ボールを保持した状態でディフェンダーをかわすドリブル能力も一級品である。推進力のあるドリブルで相手のプレスを軽々と突破し、前線へとボールを運ぶ様子は、既にベテランの域に達しているといっても過言ではない。実際、敵陣深くへと侵入していくプログレッシブキャリー(ボールを前進させる能力)の数値は他のミッドフィルダーと比べても高く、彼の攻撃的プレーを支える重要な要素となっている。
得点力
レアル・マドリード移籍後、ベリンガムはより攻撃的な役割を担うようになった。彼は主に「ナンバー10」のポジション、すなわち攻撃的ミッドフィルダーとしてプレーし、その得点力が大きく向上。ラ・リーガでの最初の10試合で8ゴール2アシストを記録する驚異的な活躍を見せ、早々にチームの主力として君臨した。特にエル・クラシコ(バルセロナとの対戦)では、試合の流れを一変させる2ゴールを挙げ、レアルに劇的な勝利に貢献。この試合での活躍は、彼が単なる中盤のクリエイティブな選手というだけでなく、フィニッシャーとして得点に直結するプレーができることを証明した最たる例といえよう。
ベリンガムの得点能力は、ペナルティエリア付近での優れたポジショニングによるところが大きい。相手ディフェンスの間のスペースを巧みに狙い、絶妙なタイミングでゴール前に顔を出すことで、得点機会をものにする。これは単なるフィジカル的・技術的な優位だけでなく、ゲームの流れを読む力や、瞬間的な判断力といったインテリジェントな側面が大きく影響しているようだ。さらに、両足を使ったシュート能力も高く、どちらの足からでも強力なシュートを放つことができるため、ゴールの可能性を最大限に広げている。
パスとチャンスメイク
キャリアの初期、ベリンガムのパス能力はそれほど際立っていなかったが、ドルトムント時代を経て大きく成長した。そのため、以前はパスの精度やプログレッシブパス(前進パス)の数が低かったものの、現在ではそれらも大幅に向上している。彼は試合中、相手の守備ラインの間を通すスルーパスや、最終局面での決定的なパスを頻繁に試みており、チームの得点機会を演出する重要な役割を担っているのだ。
実際のところ、ベリンガムはショット・クリエイティング・アクション(SCA。得点チャンスを作り出すプレーの意)の数が着実に増加しており、彼のパスがいかにチームの攻撃に貢献しているかがデータからも明らかである。特にレアル・マドリードでのプレーにおいては、ヴィニシウス・ジュニオールやロドリゴといった豪華な攻撃陣との連携が強化され、彼らに対する決定的なパスを供給する場面が多く見られる。ベリンガムのチャンスメイク能力は、チームの攻撃力を飛躍的に高めているのだ。
オフザボール時の動き
ベリンガムのもう一つの大きな強みは、オフザボール時のインテリジェンスである。彼はボールがない場面でもほぼ常に正しいポジションを取り、相手ディフェンスを混乱させる動きを披露。特に、相手ディフェンスラインの間に効果的にポジショニングし、チャンスを作り出す能力が際立っている。このようなオフザボールの動きにより、彼はしばしばゴールチャンスを得ることができ、チームにとって貴重な得点源となっているのだ。
また、ベリンガムはハーフスペースを活用する能力も高く、ここでボールを受けてからチャンスを演出することができる。相手の守備が混乱している間に、彼はスムーズに攻撃を展開し、得点機会を増やす。このような動きは、先にも少し触れたゲームの流れを読み取る力と、瞬時に正しいポジションを選ぶ判断力があってこそ可能となるのだ。
守備とプレッシング
守備面でもベリンガムは重要な役割を果たしている。彼は高い位置でのプレッシングが得意であり、相手のビルドアップを早い段階で阻止することで、チームの守備に大きく貢献している。特に、ボールを奪った後の素早い攻撃への切り替えは、彼のプレーの中でも重要な要素といえるだろう。中盤でのインターセプトやタックルも多く、守備から攻撃への切り替えをスムーズに行うことができる。
また、ベリンガムはフィジカル的に強いため、相手のアタッカーに対して身体を張った守備ができる。これにより相手から直接ボールを奪い取り、そのまま独力でカウンターを開始するシーンも少なくない。このように、彼は守備的ミッドフィルダーとしての役割と攻撃的ミッドフィルダーとしての役割をシームレスかつハイレベルに果たすことができ、試合の流れを読みながら攻守にわたって貢献できる点が大きな強みである。
プレー動画
まとめ
ベリンガムのキャリアは、バーミンガム・シティでのデビューから始まり、ドルトムントでの成長、そして現在のレアル・マドリードでの成功へと続いている。
レアル・マドリードでのベリンガムは、攻撃的なミッドフィルダーとしての新たな役割を与えられ、得点力とゲームメイク能力が飛躍的に向上した。彼はまだまだ若いが、すでにあらゆる能力が高いレベルにあり、これからのサッカー界を長くリードする存在になることは間違いないだろう。