カリム・アデイェミは、ドイツ・ミュンヘン出身のプロサッカー選手である。現在はボルシア・ドルトムントに所属。主にウィンガーとしてプレーし、その圧倒的なスピードとドリブル技術で活躍しているところだ。この記事ではそんなアデイェミについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 2002/01/18 |
国籍 | ドイツ |
身長 | 180cm |
ポジション | FW |
利き足 | 左 |
キャリア初期
アデイェミのキャリアは、TSVフォルステンリートでのユース時代から始まった。2010年にバイエルン・ミュンヘンのユースアカデミーに加入したが、契約交渉でのトラブルによりクラブを去り、2012年にSpVggウンターハヒンクに移籍。そこでの活躍により、2018年にオーストリアのレッドブル・ザルツブルクに引き抜かれ、すぐに下部チームであるリーフェリングにレンタルされた。
ザルツブルクでは、2019年から2022年までの3シーズンで公式戦68試合に出場し、27ゴールを記録。特に2021-22シーズンにはオーストリア・ブンデスリーガの得点王にも輝き、欧州の注目を集めた。彼はまた、2020年12月にUEFAチャンピオンズリーグで初ゴールを挙げるなど、ヨーロッパの舞台でも存在感を発揮した。
ドルトムント移籍
2022年5月、アデイェミはボルシア・ドルトムントへの移籍を発表し、2027年までの契約を結んだ。彼はすぐにチームの主力として活躍し、ブンデスリーガやチャンピオンズリーグで印象的なプレーを披露。特に2023年2月、チャンピオンズリーグのチェルシー戦でのソロゴールは大きな話題となった。また、2023年にはブンデスリーガの歴史上最速となる時速36.65キロのスピードを記録している。
代表キャリア
国際舞台では、ドイツの各年代別代表チームで活躍し、2021年にはU21欧州選手権で優勝を果たした。2021年9月にはドイツ代表としてシニアデビューを果たし、同試合で初ゴールも達成。彼は2022年のFIFAワールドカップにも招集されたが、グループステージでの敗退により出場機会は限られた。
プレースタイル
ここからは、アデイェミのプレースタイルについて詳しく見ていく。彼のプレースタイルは、その圧倒的なスピードと高いドリブル技術を中心に構成されており、相手守備陣にとって常に脅威となっている。
圧倒的なスピード
アデイェミの最大の武器は、驚異的なスピードである。ボールを持ってからの加速は他の選手を圧倒し、カウンターアタックの場面では一人で相手陣内を駆け抜ける力を持つ。相手ディフェンダーにとっては、彼のスピードに対応することが非常に難しく、スペースを与えれば一瞬でペナルティエリア内に侵入される危険がある。
また、アデイェミのスピードは守備陣を引き寄せるため、チームメイトにスペースを生む役割も果たしている。相手ディフェンダーがアデイェミに集中することで、他の攻撃陣に自由を与える結果となるのだ。
優れたドリブル能力
アデイェミは、スピードに加えて卓越したドリブル技術を持つ選手である。時には1試合あたり8回ものドリブルを成功させており、これは欧州トップレベルの数値である。ボールを扱う際の安定感に優れ、細かいタッチを駆使して相手を翻弄。また、ボックス内でチャンスを作り出す能力にも長けており、相手ペナルティエリア内へと果敢に侵入してゴールを狙いにいく。
守備面での貢献
アデイェミの特徴は攻撃面だけに留まらない。彼は守備においても非常に積極的であり、ドルトムントが採用する高いプレス戦術において重要な役割を果たしている。ボールを失った後すぐに取り返そうとする姿勢が顕著で、ディフェンスデュエルやインターセプトの数値も優れている。特にディフェンス時における速いプレスは、相手チームがプレッシャーを感じやすく、ミスを誘発することが多い。このような守備への貢献は、単に攻撃のオプションとしてだけでなく、チーム全体の守備力を底上げする重要な要素となっている。
フィジカルの強さ
身長は約180cmと、特別大柄ではないものの、アデイェミは非常に強いフィジカルを持つ選手である。ディフェンダーに対して体を張ってボールをキープする能力が高く、簡単にボールを失わない。こうした彼の強みはドリブルやボールキープ時のプレーにおいて顕著となり、相手ディフェンダーからのプレッシャーを受けても倒れずにプレーを続ける場面が多い。チームにとって、ボールの預け所となれる貴重な選手だ。
課題と成長の余地
一方で、アデイェミにはまだ改善の余地がある。特にゴール前での一貫性に欠ける部分が指摘されており、彼の得点やアシストの数は期待に対してやや低い。2023-24シーズンには、ブンデスリーガで21試合に出場し、3ゴール・1アシストに留まった。この数値は彼の能力を考えると物足りないものであり、今後はより多くの決定機を確実に仕留める必要がある。
また、彼のパス精度や、ラストパスにおける判断力にも改善が求められている。特にハイリスクのパスを選ぶことが多いが、その成功率は低めだ。今後はチームメイトとの連携を深め、より効果的なチャンスメイクを行う必要があるだろう。
プレー動画
まとめ
カリム・アデイェミは、その圧倒的なスピード、優れたドリブル技術、守備面での貢献、強いフィジカルという特徴を持つ魅力的な選手である。攻守両面でチームに貢献する能力があり、特にカウンターアタックやプレス戦術においては極めて有効な存在となっている。一方で、ゴール前での精度向上やパスの判断力については今以上の精度向上が求められるところだ。
アデイェミはまだ22歳と若く、そのポテンシャルは非常に高い。現在の課題を克服し、さらなる成長を遂げることで、彼は欧州トップレベルのウインガーとしての地位を確立する可能性がある。ドルトムントでの経験を通じて、より多くの試合経験を積み、安定感と一貫性を向上させれば、今後数年間で世界的なスター選手に成長することも十分にあり得るだろう。また、近いうちにドイツ代表としても活躍する機会が増えることが予想されており、今後のキャリアに大いに注目が集まるところだ。