レロイ・サネは、現在バイエルン・ミュンヘンに所属するサッカー選手である。彼は魅力的なドリブル能力を武器に多くのチャンスを作り出すタイプであり、近年はプレーにも円熟味が増し始めているところだ。この記事ではそんなサネについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 1996/01/11 |
国籍 | ドイツ |
身長 | 183cm |
ポジション | FW |
利き足 | 左 |
キャリア初期
2001年、サネはSGヴァッテンシャイト09のユースチームでサッカーを始めた。その後、シャルケ04とバイエル・レバークーゼンのユースチームを経て、2011年に再びシャルケ04のユースに復帰した。
2014年3月、サネはシャルケとプロ契約を結び、同年4月20日にブンデスリーガでプロデビューを果たした。2015年には、UEFAチャンピオンズリーグのレアル・マドリード戦でゴールを決めるなど、注目を集めた。若手選手ながら、そのスピードと技術でチームの主力としての地位を築いた。
マンチェスター・シティでの成功
2016年8月、サネはマンチェスター・シティに移籍した。ペップ・グアルディオラ監督の指導のもと、サネはスピードとドリブル技術を駆使し、チームの攻撃の中心選手となった。特に2017-18シーズンは、プレミアリーグとEFLカップのタイトル獲得に貢献し、PFA年間最優秀若手選手賞を受賞するなど大きな成功を収めた。
しかし、2019年のFAコミュニティ・シールドで前十字靭帯を負傷し、長期間の離脱を余儀なくされた。2020年にはマンチェスター・シティとの契約延長を拒否し、バイエルン・ミュンヘンへの移籍が発表された。
バイエルンへの移籍
2020年7月、サネはバイエルン・ミュンヘンに移籍した。移籍後すぐにシャルケ04との試合で復帰し、ゴールを決めてチームの8-0の勝利に貢献した。その後バイエルンでも主力選手となり、パフォーマンスの浮き沈みが激しい側面は指摘されるものの、チャンピオンズリーグやブンデスリーガで活躍している。特に2021-22シーズンのチャンピオンズリーグでは6ゴール6アシストを記録し、その存在感を強く示した。バイエルンにおいてサネはプレーの幅を広げ、ブンデスリーガ3連覇など多くのタイトル獲得に貢献している。
ドイツ代表としての活躍
サネは2015年に初めてドイツ代表に選出され、フランスとの親善試合でデビューを果たした。2016年にはユーロ2016に参加し、準決勝まで進出した。2018年のワールドカップメンバーからは外れたものの、再び代表チームでの地位を築き、EURO2020や2022年のカタールワールドカップにも出場している。
プレースタイル
ここからは、サネのプレースタイルについて時系列に沿って見ていく。彼はマンチェスター・シティでその才能を開花させ、バイエルン・ミュンヘンに移籍後も、そのプレースタイルを進化させている。スピードと卓越したドリブル技術を誇り、またスペースを創出・利用する感覚も持ち合わせた選手である。
シティでの役割
先述した通り、サネはシャルケ04のユースチームで育ち、2014年にプロデビューを果たした。その後、2016年にマンチェスター・シティへ移籍し、ペップ・グアルディオラ監督の下で本格的に注目を浴びるようになる。彼のプレースタイルは、左ウィング(左アウトサイド)を主戦場とし、左足から繰り出されるスピードある突破とクロスが特徴的であった。相手ディフェンダーにとって、サネの速さと技術は大きな脅威であり、プレミアリーグの中でも特に危険なウィンガーの一人として知られるようになった。
2017-18シーズンには、サネはPFA年間最優秀若手選手に選出され、チームのプレミアリーグ優勝に大きく貢献した。このシーズン、サネはリーグ戦で10ゴール・15アシストを記録し、攻撃面で決定的なプレーを次々と披露。彼のドリブル突破力や爆発的なスピードは、マンチェスター・シティにおいて大きな武器となっていた。
ACL負傷と復帰後の変化
しかし、2019年のFAコミュニティ・シールドでの試合中、サネは前十字靭帯(ACL)を負傷した。この怪我は、かつてスピードを武器とする選手にとって致命的なものだと考えられており、彼のキャリアにも大きな打撃を与える可能性があった。実際、この負傷により彼は2019-20シーズンの大半を欠場し、シティでのキャリアを締めくくることになった。
2020年にバイエルン・ミュンヘンへ移籍したものの、復帰後しばらくは以前のスピードと力強さを失ったように見受けられた。特に、ACL負傷以前のような爆発的な加速力が減少し、彼の突破力に影響が感じられる。しかし、トーマス・トゥヘル監督の下でサネは復調を見せ、再び世界クラスのウィンガーとしての価値を示し始めるようになった。
バイエルンでの新たな役割と進化
バイエルン・ミュンヘンでは、サネの役割は徐々に進化している。トゥヘル監督はサネを主に右ウィングで起用しつつ、彼により戦術的な自由を与えた。これにより、サネは単なる一対一の突破者としてだけでなく、スペースを巧みに使い、相手ディフェンダーを翻弄するチャンスメーカーとしての役割も担うようになった。
特にハリー・ケインとの連携が目覚ましい。サネのドリブルにより相手のディフェンダーを引きつけ、スペースを作り出すことで、前線のケインがゴールチャンスを得る状況を頻繁に作り出している。他方、ケインがボールを深い位置で受ける際には、サネには相手ディフェンスの背後に走り込むスペースが生まれる。これにより、サネは攻撃時に多くのゴールチャンスを作り出し、得点やアシストでチームに貢献している。ケインの動きによって生まれるスペースをサネが巧みに利用し、ゴール前でのシュートチャンスを増やしているのだ。
また、右サイドから中央にカットインし、ジャマル・ムシアラや他の選手と連携する場面も多く見られる。彼は狭いスペースでのパスワークや、深い位置からのクロスを武器に、選択肢の多い攻撃を展開。さらに、サネはリスクを伴うパスも成功させるといったように、創造的な面も評価されている。
改善点・弱点
サネの現在の課題としては、空中戦での貢献が少ない点や、判断能力が挙げられる。特に後者に関しては問題視される傾向が強く、ドリブルを過度に行うことで潜在的なチャンスシーンを逸してしまうばかりか、ボールロストを誘発してしまう場面が少なくない。スペースを利用する意識は向上したが、依然としてパスの精度・判断は改善の余地が大きいといえるだろう。そうすれば、本来彼の持つ創造的なパスセンスももっと活きるはずだ。
また、彼には好不調の波が非常に激しいところがあり、好調時には先述したような素晴らしいプレーを見せるが、不調時には大きくパフォーマンスを落としてしまう傾向が見られる。したがって、一貫性・継続性といった面は出来る限り改善していくことが求められるだろう。
プレー動画
まとめ
レロイ・サネは、負傷によるキャリアの危機を乗り越え、再び(好調時には)驚異的なプレーを見せるようになった。今後、判断能力やパフォーマンスの安定性などが改善されれば、さらに高いレベルへと到達することも可能だろう。