ロイク・バデのプレースタイルを徹底解説:広い守備範囲を持つ逸材センターバック

選手紹介

ロイク・バデは、フランス出身のセンターバックであり、主にそのフィジカルの強さを活かした守備範囲の広さが特徴的な選手だ。現在はラ・リーガのセビージャで活躍しており、多くのクラブから高い評価を得ている。この記事ではそんなバデについて紹介していきたい。

基本情報・成績

生年月日2000/04/11
国籍フランス
身長191cm
ポジションDF
利き足

キャリア初期

バデのキャリアは、パリFCの下部組織でスタートした。彼はユース時代から高さとフィジカルに優れた選手として注目を集め、空中戦での強さや、相手攻撃の危険をいち早く察知してカットする能力に秀でていた。このような特徴により、彼は早い段階でリーダーシップを発揮するセンターバックとしての地位を確立していった。

その後、ル・アーヴルに移籍し、プロとしてのキャリアをスタートさせる。ル・アーヴルでは、主にリザーブチームで経験を積みながら、2019年にはリーグ・ドゥ(フランス2部リーグ)のトップチームでデビューを果たす。デビュー戦ではクリーンシートを達成し、守備面での安定感を印象付けた。彼の加入後、ル・アーヴルは3試合連続で無失点を記録し、バデはその堅守の中心としての役割を果たした。

浮き沈みの時期

2020年、バデはフランス・リーグ・アンのランスに移籍。ここでは主に3バックの中央でプレーし、守備の要として期待された。ランスは当時、昇格したばかりのチームでありながら、リーグ・アンで健闘し、最終的には7位という結果を残した。バデはこの成功に大きく貢献し、リーグ・アンの舞台でもその存在感を示した。

しかし、ランスでの成功もつかの間、クラブの財政事情により、2021年にスタッド・レンヌに移籍することとなった。レンヌでは、センターバックのナイフ・アゲルドとコンビを組んだが、2人の連携は思ったほど安定せず、バデは一時的にスタメンから外れることもあった。その後、負傷や戦術的な変更もあり、安定した出場機会を得ることができず、彼のキャリアは一時停滞する。

そんな中、2022年にノッティンガム・フォレストへレンタル移籍するが、ここではわずか1試合の出場にとどまり、再び厳しい状況に立たされた。

セビージャでの復活

しかし2023年、スペインのセビージャがバデに目を付け、シーズン途中から彼を獲得した。この移籍が転機となり、セビージャでのバデは再びその才能を開花させた。当時のセビージャはラ・リーガで苦戦を強いられていたが、バデの加入以降は守備が安定し、チームも一気に復調した。

フランス代表キャリア

これまでバデは、フランスU21代表として6試合に出場し、2024年のパリオリンピックでは銀メダルを獲得した。また、2024年10月にはフランスA代表にも初招集。今後はフル代表への定着を目指す。

プレースタイル

ここからはバデのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼のプレースタイルは、主に優れた守備的センスと身体能力によって形成されており、広い守備範囲によってピンチの芽を摘み取ることのできる選手である。

バデのプレースタイルを把握するため、今回はデータを参照する。以下は2023-24シーズンのラ・リーガにおけるバデの1試合平均スタッツのうち、印象的ないくつかのスタッツとそのパーセンタイル(ラ・リーガのCBを対象)をまとめたものである(『fbref.com』)。

守備的な特徴

バデの特徴として特筆すべきは、守備範囲の広さと空中戦での強さである。彼は191cmの長身を生かし、空中戦では多くの相手に対し優位に立つ。また、フィジカルが強く、1対1の場面でも相手フォワードをしっかりと抑え込むことが可能だ。さらに守備範囲が広いため、相手の攻撃を早い段階で察知・対応することができる。こうして、バデはセビージャで守備の中心として信頼を得ているのだ。

上掲の通りデータを確認しても、リーガにおいてはバデの守備的な能力が際立っていることがわかる。バデは守備面で非常に安定しており、特にタックル成功率が1.62回(94パーセンタイル)と高く、1対1での守備やボールを奪う場面での強さが際立っている。彼のインターセプト能力も90パーセンタイルに達しており、相手の攻撃の芽を事前に摘む力が非常に優れている。また、空中戦においても勝率66.7%(81パーセンタイル)を記録し、フィジカルと高さを活かした強さを示している。

さらに、バデのボール回収能力も非常に高い。1試合平均で5.97回ものボール回収を行っており、これは94パーセンタイルに相当する。このことからも、彼は守備範囲が広く、ポジショニングの良さを活かして相手の攻撃を止めることが可能な選手であることが窺える。

一方、守備面に関する課題としては、スピードのある相手選手に対するオープンスペースでの対応が挙げられるだろう。バデは大柄である分、敏捷性という面ではやや物足りない。相手をしっかりとマークした状況では持ち前のフィジカルが活きるが、前を向いてスピーディーに仕掛けられた際には、安定感を欠く傾向が見られる。

攻撃面の課題

攻撃面に関し、現時点でバデにはいくつかの課題がある。まずパス成功率は82.7%で、センターバックとしてはやや平均を下回る数字である。また、プログレッシブパス(攻撃を前進させるパス)やボールキャリーの数値もそれほど高くなく、攻撃への貢献度は限定的となっている。特にロングボールの成功率は53.3%と改善の余地がある点だ。さらに、ゴールやアシストに直接関与するプレーは少なく、決定的な攻撃参加には至っていない。

ただし、時おりバデは相手守備の穴を突く鋭い縦パスを出したり、またポジティブトランジション時にはボールを持って前進したりと、技術的に光るものは見せている。したがって、そうした積極的なボール保持時のプレーを高頻度かつ安定して行えるようになることが、更なる成長のためには必要になるだろう。

プレー動画

まとめ

バデのキャリアはこれまで波乱に満ちていたが、逆境に立ち向かう精神力と、身体能力面での圧倒的な強さを武器に、セビージャで再びその価値を証明している。今後もさらなる成長が期待されており、セビージャでの活躍次第では、さらなるビッグクラブへのステップアップも視野に入るだろう。

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