ロレンツォ・ペッレグリーニは、イタリア代表のミッドフィルダーである。現在はローマでプレーしており、伝統あるキャプテンの責任を担い奮闘しているところだ。この記事ではそんなペッレグリーニについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 1996/06/19 |
国籍 | イタリア |
身長 | 186cm |
ポジション | MF |
利き足 | 右 |
キャリア初期
ペッレグリーニは9歳のときにローマの下部組織に加入。そして2015年3月22日、18歳でセリエAデビューを果たした。
その後、2015年7月に出場機会を求めてサッスオーロへ移籍。育成に定評のあるクラブで彼もまた成長を遂げ、計2シーズンで公式戦54試合に出場し、11ゴール・7アシストを記録した。この活躍により、多くのビッグクラブから関心を寄せられることとなる。
ローマへの復帰
2017年7月、元所属クラブのローマが買い戻しオプションを行使し、1000万ユーロでペッレグリーニを復帰させた。復帰初年度から貴重な戦力としてチームに定着すると、翌シーズンからは主力としてプレー。2021-2022シーズンにはUEFAヨーロッパカンファレンスリーグでローマを初優勝に導いた。これはペッレグリーニのキャリア初タイトルとなり、同大会の年間最優秀選手にも選ばれている。
イタリア代表キャリア
ペッレグリーニはユース世代から着実にステップアップし、2017年6月にイタリアA代表でデビューを果たす。その後も定期的に招集されており、EURO2024にも出場した。
プレースタイル
ここからは、ペッレグリーニのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。近年は攻撃的ミッドフィルダーとしての起用がメインとなっているが、彼は中盤のあらゆるポジションで器用にプレーできるポリバレントなタイプである。
個人能力
ペッレグリーニの特徴としては、まず個人能力のバランスの良さが挙げられるだろう。テクニック面とフィジカル面の両方が安定しており、そのことがパス、ドリブル、シュート、ボールコントロールといった各プレーの精度にもポジティブに作用している。かつてはスタミナが疑問視されていたが、現在は高いインテンシティを試合終盤まで維持できるようになった。
中でもペッレグリーニはキックの精度が高く、広い視野を活かして前方にスペースを見つけ、そこへパスを差し込む能力が秀逸だ。味方選手との連携で相手ディフェンスラインを攻略することで、チャンスを創出していく。また、自らタイミング良くゴール前に侵入していき、正確なシュートでネットを揺らす形も得意としている。
セットプレーキッカー
キック力に長けたペッレグリーニは、ローマの主力セットプレーキッカーとしても重要な役割を果たしている。フリーキック、コーナーキック、PKいずれの場面でも精度の高いキックを披露し、チームに多くの得点機会を提供。2021/22シーズンには、ラツィオ戦でのフリーキックゴールが「セリエA月間ベストゴール」に選出されるなど、その能力はセリエAでも屈指である。
ポジショニングセンス
更に、ペッレグリーニの最大の魅力の一つといえるのが、インテリジェントなポジショニングである。彼は試合中にピッチ上の敵・味方の位置関係を把握し、適切な位置取りを行う能力に優れている。相手のマークを引き付けて味方のためのスペース・パスコースを作り出したり、流動的な動きによってオーバーロード(特定のエリアに多くの人数をかけ、局所的な数的優位を得て突破を図るチーム戦術)を形成してチームの攻撃に厚みを加えたりなど、状況に応じた効果的な動きを見せるのだ。
最近では2023-24シーズン後半戦のローマにおいて、ペッレグリーニはダニエレ・デ・ロッシ監督の下で自由度の高い流動的な役割を担っており、その力をいかんなく発揮していた。例えば左サイドバックが高い位置を取る際、彼は一時的に守備的な位置に下がることでバランスを保ちつつ攻撃をサポート。一方、最前線のFW(当時はルカク)が相手ディフェンダーを引き付けポストプレーを行う状況では、ペッレグリーニがその周辺のスペースに素早く入り込んで落としを受け、攻撃の継続性を確保。そのほかにも試合の流れの中で味方選手とポジションを入れ替え、相手のマークを混乱させるなど、持ち前のポリバレント性を活かして攻撃の中心の一人として機能していたのだ。
守備能力
ペッレグリーニの主な役割は攻撃にあるが、守備面でも一定の貢献をしている。特に、攻撃から守備への切り替えが速く、中盤でのパスコースを遮断する際の正確性が目立つ。ただし、総合的な守備能力に関してはそこまで高くないため、やや高めの位置で守れる攻撃的ミッドフィルダーで起用した方が安定したパフォーマンスを期待できるだろう。
ウィークポイント
ペッレグリーニは負傷頻度が高い。傾向として、一度に生じる離脱期間はそこまで長くないが、合計すると年に凡そ10試合以上は怪我で欠場している。更に、所属クラブであるローマのチーム状況が安定しておらず、その影響を受ける形で近年のペッレグリーニ個人のパフォーマンスもそこまで安定していない。彼は個人で打開するよりも周囲との連携の中で真価を発揮するシステム・プレーヤーであるため、チームの不振(組織的不備)の影響を受けやすいタイプである。
プレー動画
まとめ
ロレンツォ・ペッレグリーニは、ASローマの攻撃をリードする存在であり、そのプレースタイルは多彩かつ効果的である。またチームのキャプテンでもあり、その影響力は非常に大きい。現状のローマが目標を達成するためには、ペッレグリーニの能力を十分に引き出すことが求められるだろう。