ペドリ(本名:ペドロ・ゴンサレス・ロペス)は、現在バルセロナとスペイン代表で活躍するミッドフィルダーである。10代の頃からその卓越した技術と知性で広く知られており、同国の伝説的MFであるアンドレス・イニエスタとも比較されるなど、若くして世界的な評価を得ている。この記事ではそんなペドリについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 2002/11/25 |
国籍 | スペイン |
身長 | 174cm |
ポジション | MF |
利き足 | 右 |
キャリア初期
スペイン・カナリア諸島出身のペドリは、幼少期にテゲステへ移住し、10歳から地元クラブでサッカーを始めた。そして2018年、UDラス・パルマスのユースチームに加入。すると2019年7月、わずか16歳でラス・パルマスのトップチームとプロ契約を結び、8月にプロデビュー。その後9月にはクラブ史上最年少のゴールを記録するなど、若くしてスペインで大きな注目を集めた。
バルセロナ移籍
2020年7月、ペドリはバルセロナへと入団。加入初年度からラ・リーガ、UEFAチャンピオンズリーグ、そしてコパ・デル・レイなどあらゆるコンペティションで多くの試合に出場し、最終的に公式戦52試合でプレーした。また、そうした活躍が認められ、2021年にはUEFA主催の「ヨーロッパ年間最優秀若手選手賞」、イタリアの「ゴールデンボーイ賞」、フランス・フットボールの「コパ・トロフィー」など数多くの個人賞を受賞。欧州トップクラスの若手選手としての地位を確立した。
なお2024年現在、ペドリはバルセロナでリーグ優勝1回、国内カップ戦優勝1回、スーペルコパ優勝1回を経験している。今後、獲得タイトル数をどれだけ増やしていけるか注目だ。
スペイン代表キャリア
ペドリは、スペイン代表としても若くして見事な経歴を持つ。2021年、18歳で出場したUEFA欧州選手権を皮切りに、東京オリンピック、2022年ワールドカップとメジャー大会に次々と参加。いずれも優勝には手が届かなったものの、絶対的な主力としてプレーした。すると、2024年の欧州選手権ではスペイン代表としてついに優勝を経験。ペドリは準々決勝で負傷してしまい決勝の舞台には立てなかったものの、チームの優勝に貢献している。
プレースタイル
ここからは、ペドリのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼のプレースタイルは、その極めて優れた技術とインテリジェンス、そして戦術理解力がベースにある、また、2024-25シーズンからはフリック新監督の指導によるフィジカル面の改善が注目されており、そのプレースタイルが更なる発展を迎えようとしているところだ。
戦術的柔軟性とポジショニングセンス
ペドリは、バルセロナやスペイン代表で中盤のあらゆるポジションを務め、場合によってはウィングのポジションもこなすユーティリティ性を持つ選手である。元々は左ウィングの位置からキャリアをスタートさせたが、その技術的特性を存分に発揮すべく中盤が主戦場に。バルセロナでは4-3-3システムのインテリオール、4-2-3-1のダブルピボットの一角や攻撃的ミッドフィルダーなど状況に応じてスタートポジションは変わるが、それぞれのポジションで必要とされるプレーを適切なタイミングで実行できる柔軟性を持つ。いずれにせよ、チームのボール保持に積極的に関与し、中盤の支配力を高めるという彼の主な役割は基本的に不変である。
また、ペドリはポジショニングセンスに関しても秀逸だ。彼は試合中、ボールを受けやすい位置に的確にポジショニングし、狭いスペースでのプレッシャーにも動じずにボールを保持できる。こうした的確な位置取りとボールキープにより、チームが中盤の支配力を高めるのに大きく貢献しているのである。
プレス耐性とドリブル技術
ペドリは小柄な体型を活かした俊敏な動きと優れたボールコントロールにより、狭いスペースでのプレッシャーにも巧みに対応する。ドリブルで相手ディフェンダーをかわしながらボールを保持することで、攻撃の流れを途切れさせることなく的確にプレーを展開。ペドリのドリブルは華麗かつシンプルであり、特にターンや細かいボールタッチを駆使することで、相手の足が届かない絶妙な位置にボールを持ち運ぶのが特徴的である。
また、先述した通りペドリはポジショニングセンスに長けているため、ドリブルを多用せずともシンプルな動きとポジショニングだけで相手のプレッシャーをかわすことができる。こうした能力の高さは、バルセロナやスペイン代表のチームスタイルにおいて不可欠な要素といっていいだろう。
高精度のパスと創造性
ペドリのプレースタイルにおいて最も際立つのは、広い視野と精度の高いパスである。彼は相手ディフェンスを崩すためのスルーパスやワンタッチパスを多用し、相手の守備ラインを攪乱。特に相手ゴールに近いエリアでは、短いパスと長いパスを柔軟に使い分け、瞬時に判断してボールを送り出す。ピッチ中央からサイドまで広範囲に渡ってボールを配球することができるため、ボールサイドとは反対のエリアにいる選手も決して気は抜けない。
ペドリの創造的な側面も特筆すべきである。例えば、ワンタッチでのヒールパスや相手DFライン間のわずかなスペースを突く精密なスルーパスなど、相手を驚かせるプレーでチャンスを演出する。こうした創造的なプレーにより、彼は相手の固い守備ブロックをこじ開ける上で重要な役割を果たすのだ。
フィジカル強化と持久力
ペドリはその小柄な体型ゆえ、フィジカルコンタクトに強いタイプとはいえない。また、近年は筋肉系の負傷に悩まされているため、フィジカルコンディションの維持・向上というのが今後のペドリにとって非常に重要な改善ポイントの一つとなっている。
そんな中、2024-25シーズンにハンジ・フリックがバルセロナの新監督に就任。フリックはチームのフィジカル面の向上に着手し、ペドリに対しても個別のフィジカルプランを作成。専門的なトレーニングを通じて筋力とスタミナの向上を目指すとともに、慢性的な筋肉系負傷の解決に取り組んでいる。
こうしたプランが功を奏し、ここまでフリック・バルセロナは素晴らしいスタートを切っている。チームもペドリも、以前より長時間にわたって高強度でプレーできる持久力を備えており、相手に対して常に圧力をかけ続けられるようになったのだ。
得点力の向上
キャリア初期の頃、ペドリはシュート力が課題とされ、得点機会の創出に苦労していた。しかし近年はトレーニングの成果が現れ、中距離からのシュート精度や威力が向上。さらに、彼はフリック監督の指導の下で積極的にシュートを狙うプレースタイルに移行しており、2024-25シーズンの開幕から既に複数ゴールを挙げている。
フリックはペドリに対して「より垂直的な攻撃」を求めており、ペドリはこの指示に応えて縦方向へのプレーの意識を強め、ゴール前へ積極的に進出。こうした動きは、相手ディフェンスに常にプレッシャーを与えつつ、チームメイトにもスペースを作り出すといったポジティブな効果を生み出している。
プレー動画
まとめ
ペドリは戦術的な柔軟性、視野の広さ、そして優れたパス・ドリブル技術を有し、すでにバルセロナやスペイン代表において欠かせない選手である。そんな中、現在はフリック監督の下でフィジカル面の向上を図っており、より完成度の高い選手へと発展を遂げようとしている。このままいけば彼のプレーは今後さらに進化し、世界トップレベルの選手としての地位を盤石なものにするだろう。