ラファエル・レオンは、ポルトガル出身のアタッカーである。現在はACミランに所属しており、その爆発的なドリブル能力が非常に高く評価されている。この記事ではそんなレオンについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 1999/06/10 |
国籍 | ポルトガル |
身長 | 188cm |
ポジション | FW |
利き足 | 右 |
キャリア初期
レオンはポルトガル・スポルティングCPのユースアカデミー出身である。若い頃からその技術とスピードで注目されると、2017年にカップ戦でトップチームデビュー。デビュー戦でゴールを記録し、また翌年3月の国内リーグのポルト戦でもゴールを決めるなど有望な活躍を披露したが、クラブ施設でのファンによる暴行事件を機にクラブとの契約を解除。2018年8月にフランスのリールへ移籍することになる。
リールでは、レオンは主にセンターフォワードとしてプレー。持ち前のスピードとドリブルを活かして活躍し、リーグ戦24試合で8ゴール2アシストを記録した。
ミランへの移籍
2019年8月、レオンはイタリアの名門・ACミランに加入した。移籍当初はイタリア・セリエAへの適応に時間を要したが、シーズンを追うごとに成長し、2021-22シーズンには11年ぶりとなるクラブのセリエA優勝に貢献。また、この年にはセリエA最優秀選手にも選ばれ、バロンドールの候補リストにも名前を連ねた。
その後の2022ー23シーズンには「31」、2023ー24シーズンには「29」のスコアポイント(ゴール+アシストの合算)を積み重ね、ミランのエースとしての地位を確立している。
ポルトガル代表キャリア
レオンは、ポルトガル代表としてもユース世代から各カテゴリーで活躍してきた。2016年のU-17欧州選手権で優勝すると、2021年のU-21欧州選手権では準優勝を経験。2021年10月にはA代表デビューを果たし、2022年のワールドカップや2024年のEUROにも出場している。
プレースタイル
ここからは、レオンのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼は抜群の身体能力とフィジカル(体格)、スピードを有しており、そこから繰り出される破壊力のあるドリブル突破が最大の特徴である。
ドリブル能力
先述した通り、レオンの最大の強みはドリブルである。1対1の場面での突破力は圧倒的で、相手ディフェンダーを容易に抜き去る場面が散見。2022-23シーズンのチャンピオンズリーグでは最高速度36.5km/hを記録しており、スピードは紛れもなくトップレベルだ。このスピードを存分に活用しつつ、長い歩幅とスムーズなボールコントロール・タッチによって一気に前方スペースへとボールを持ち運ぶプレーを得意とする。
また、それらに加えて強靭なフィジカルも有しているため、ボディコンタクトで彼の進行を止めるのも至難の業だ。このように、対面のディフェンダーからすれば極めて厄介な存在であり、特に前方スペースの生じやすいカウンターアタックに際しては絶大な威力を発揮する。
得意の決定機創出アクション
レオンは先述したドリブルによって、最終的に左サイドから相手ペナルティエリア内のニアゾーン(ポケット)へと積極的に侵入していく。そこからシュートやラストパス(カットバック)でフィニッシュに繋げるというのが定番パターンだ。この一連の流れはすでに完成されたアクションといっても過言ではなく、これまで数多くの得点・アシストを生み出してきたワールドクラスのプレーである。
実際、2023-24シーズンのセリエAにおいても、レオンは「ドリブルによって相手ペナルティエリアへ侵入した回数」でトップ(1試合平均2.94回)の数値を記録。また、「1対1突破からゴールを創出した数」でもトップ(1試合平均0.29回)であり、いかにドリブルをチャンスメイク時の軸にしているかが窺える。
パス能力
また、レオンは「パスによるゴール創出数」でも同シーズンのリーグトップ(1試合平均0.61回)であった。これは、先述したニアゾーン侵入からのラストパスが多くの決定機を生み出していることの一つの証左である。
ただし、レオンは左アウトサイドに張っている状態からでもパスによってチャンスメイクできる。その一つが同じサイドを担当するSB(ミランにおいてはテオ・エルナンデス)との連係プレーであり、主に背後から前方ニアゾーン方向に飛び出したテオにスルーパスを送る形でスピーディーな崩しに貢献。シンプルながらも強力な連携であり、ミランにおいては両者のパフォーマンスが試合を左右することも少なくない。
また、キック力のあるレオンは静止した状態から上げるクロスにも定評があり、ハイクロスからチャンスを演出する場面も見られる。ただし、パスの精度や判断には全体的に改善の余地があり、ドリブルで中央エリアへと切り込んだ後に行われるパスがロストに繋がるケースがやや目立つ。
守備意識
圧倒的なドリブル能力を軸にしたレオンのプレースタイルには華があるが、一方でいくつかのウィークポイントがあるのは見逃せない。具体的には、まず守備面での貢献度が低い点が挙げられるだろう。
彼は守備に積極的ではなく、相手にボールを奪われた際も深く追いかけることが少ない。またディフェンス時において、前線から激しく相手にプレッシャーをかける場面がほとんど見られず、こうした守備強度の低さはしばしば批判の対象となっている。
被カウンターの際には相手を追いかけてボールを奪うシーンもあるが、その時々によって守備への意欲が変わるのもチームにとって悩みの種だ。守備時のポジショニングや振る舞いが不安定なため、周囲の味方のポジションバランスも崩れやすく、相手に危険なスペースを与えてしまう原因となっている。
集中力
集中力の欠如もウィークポイントとして指摘される部分である。レオンはシュートやパスの精度に波があり、簡単なチャンスを逃す場面も少なくない。特に不調時は得点機やラストパスの場面でのミスが目立ち、これが彼のパフォーマンスの不安定さにつながっている。
また、集中力の低さは相手のボックス(ペナルティエリア)内で顕著だ。190cm近い身長に加えて屈強な肉体を持つレオンは、ボックス内でもフィジカル的な優位性を持ちやすいタイプであるが、味方からのラストパス(クロス)に対するボックス内での位置取りや反応は非常に緩慢。そのためワンタッチシュートやヘディングでのゴールが非常に少なく、この点についてはミランの前監督であるステファノ・ピオーリが何度も言及していたが、彼の在任中に明確に改善されることはなかった。
とかくレオンには試合を通して一貫した集中力を保つことが強く求められており、この点を克服できれば更に高いレベルでの活躍が期待できるだろう。
プレー動画
まとめ
ラファエル・レオンは。「潜在能力はワールドクラス」と評されるほどの素晴らしい才能を備えている選手である。彼の持つ卓越したドリブル能力と身体能力は、現代サッカーにおいて非常に重要であり、特にカウンターアタック時には不可欠な存在となっている。
しかし、その一方で守備意識や集中力の不足、プレーにムラがあることなど、改善すべき点は少なくない。これらの課題を克服することで、レオンは真のワールドクラスとしての地位を確立できるだろう。