ルベン・ディアスは、モダンサッカーにおける最も代表的なセンターバックの一人である。現在はマンチェスター・シティとポルトガル代表でプレーし、その安定した守備能力と卓越したビルドアップ能力をいかんなく発揮しているところだ。この記事ではそんなディアスについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 1997/05/14 |
国籍 | ポルトガル |
身長 | 187cm |
ポジション | DF |
利き足 | 右 |
キャリア初期
ルベン・ディアスはベンフィカのユースアカデミーで育成され、2015年にベンフィカBチームでプロデビューを果たした。2017年にはベンフィカのトップチームに昇格し、同年にプリメイラ・リーガの最優秀若手選手賞を受賞した。
ベンフィカでは、2018-19シーズンにリーグタイトルを獲得し、2019-20シーズンにはスーペルタッサ・カンディド・デ・オリヴェイラ(前年度のリーグ戦優勝チームとカップ戦優勝チームが戦う国内のスーパーカップ)でも優勝を果たした。ディアスはベンフィカで100試合以上に出場し、その価値を大きく高めていった。
マンチェスター・シティへの移籍
2020年9月、ディアスはマンチェスター・シティに約6800万ユーロで移籍。ポルトガルから国外に移籍した選手としてはトップクラスの高額移籍となった。
ディアスはマンチェスター・シティでもすぐに主力として活躍し、2020-21シーズンにはプレミアリーグとEFLカップのタイトルを獲得。さらに、UEFAチャンピオンズリーグの決勝進出に貢献した。同シーズン、彼はFWA年間最優秀選手賞、マンチェスター・シティ年間最優秀選手賞、プレミアリーグ年間最優秀選手賞、UEFA年間最優秀ディフェンダー賞を受賞するなど、個人でも多くのタイトルを受賞。そして、2022-23シーズンにはシティのトレブル(プレミアリーグ、FAカップ、チャンピオンズリーグ制覇)達成に大きく貢献するなど、クラブの成功に欠かせない存在となった
ポルトガル代表キャリア
国際舞台では、ディアスはポルトガルの各世代別代表でプレーした後、2018年にA代表デビュー。彼は2019年にUEFAネーションズリーグで優勝し、決勝ではマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。さらに、FIFAワールドカップ(2018、2022年)やUEFA欧州選手権(2020、2024年)にも選出・出場している。
プレースタイル
ここからは、ルベン・ディアスのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼は守備力とボール扱いの両面において非常に優れた能力を持ち、特にマンチェスター・シティにおいてはビルドアップに欠かせない存在として機能している。
強固な守備力
ディアスのプレースタイルの基盤は、まずその堅固な守備にある。彼はフィジカルが強く、空中戦や1対1の場面でも非常に強力である。2023/24シーズンには、プレミアリーグで最も多くのクリアやインターセプトを記録するなど、相手の攻撃を未然に防ぐ能力が際立っていた。
またディアスの守備は、フィジカル的な強さだけでなく、優れた戦術眼と判断能力によって支えられている。彼は相手の動きを予測し、必要な時に適切なポジションに入り、相手のパスやクロスを防ぐことができる。例えば、相手がクロスを上げようとする瞬間に素早く的確にポジショニングし、ヘディングでクリアするといった形だ。こうしたディアスのプレーは、自身のパフォーマンスに安定感をもたらしている。
守備の統率
さらに、ディアスは守備面でのリーダーシップも発揮している。彼はチームメイトに指示を出し、ディフェンスラインの統率を行いながら、全体の守備バランスを保つ役割を担っている。ディアスがフィールドにいることで、チーム全体が守備において組織的かつ堅実なパフォーマンスを発揮できるようになる。ディフェンスリーダーとしての彼の存在は、マンチェスター・シティのディフェンス全体における安定性を支える要因の一つであり、試合の流れを相手に渡さないための重要な要素である。
シティがトレブルを達成した2022-23シーズン。ディアスが出場している試合において、チームは1試合あたりの平均失点を「0.6」に抑えていた一方、彼が不在の際は「1.0」に増加していた、こうした数字の違いは、シティにおける彼の影響力の大きさを示しているといえるだろう。
効果的なパス
現代サッカーにおいて、センターバックには守備だけでなく、ボールを扱う技術も求められている。ディアスもその期待に応え、チームのビルドアップにおいて極めて重要な役割を担当。彼のパス精度は非常に高く、マンチェスター・シティのビルドアップにおける中心的な存在となっている。2023/24シーズンでは、プレミアリーグで2454回のパスを成功させ、チーム内で2番目に多い数字を記録した。
ディアスのパスはシンプルで効果的である。彼は無駄なリスクを取らず、適切なタイミングで味方にボールを供給。特に、相手のプレスを引きつけた上で、適切なパスコースを見つけてボールを前進させるプレーが多く、これによりチームの攻撃の流れをスムーズにするのだ。
ドリブルによるボール運び
ディアスはパスだけでなく、ドリブルによっても積極的にボールを前進させることができる。2023ー24シーズンには、約6000メートルもの距離をボールを持って運び、ヨーロッパのトップリーグで最もボールを運んだセンターバックとして記録された。彼のボール運びは、相手選手を引きつけ、数的優位を作り出す効果がある。
例えば、ボールを中央方向へと持ち運ぶことで、相手の守備全体を中央エリアに引き寄せる。それによりサイド側にスペースを生じさせ、そこで待つフリーの味方へパスを展開するといった形だ。このように、ディアスはボールを運びながら相手の守備ラインを操作し、味方に攻撃のためのスペース延いてはチャンスを提供している。
またディアスは、ボールを持って運ぶ際にも冷静であり、相手のプレスに捕まらないように細心の注意を払っている。彼は周囲を常にスキャンし、適切なタイミングでボールをリリースすることで、ミスを最小限に抑えている。特にリスクの高い状況では、無理に突き進むことはしない。いったんボールを落ち着かせることで、チーム全体の安全を確保することができる。
さらに、彼はボールを運ぶ際のタッチも細かく、安全なスペースにボールを置くことで、相手に奪われるリスクを最小限に抑えている。このような冷静な判断力が、ボール保持時におけるディアスの安定感と信頼性を支えているのだ。
プレー動画
まとめ
ルベン・ディアスは、守備力、パス技術、ボール運びの能力、そしてリーダーシップを兼ね備えた現代サッカーにおけるトップレベルのセンターバックである。そのプレースタイルは、現代サッカーにおけるセンターバックの新しい基準を示しているといえ、彼の冷静な判断力と正確なプレーはマンチェスター・シティの攻守両面において欠かせない要素となっている。今後の活躍にも大いに期待していきたい。