トゥーン・コープマイネルスは、オランダ出身の優れたミッドフィルダーである。2024-25シーズンからは高額な移籍金でユベントスに移籍し、そのパフォーマンスに注目が集まっているところだ。この記事ではそんなコープマイネルスについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 1998/02/28 |
国籍 | オランダ |
身長 | 184cm |
ポジション | MF |
利き足 | 左 |
キャリア初期
2009年、コープマイネルスはAZユースアカデミーに加入。そして2016年にヨングAZ(リザーブチーム)に昇格し、チームのオランダ3部リーグ優勝と2部昇格に貢献した。
すると2017年、彼はトップチームでプロデビューを果たす。2018–19シーズンには主にCBとして起用されたが、2019-20シーズンからは2シーズンにわたって中盤の主力に定着。その頃には得点能力も大いに発揮し、同期間中に計33ゴールを記録した。
セリエAへの挑戦
2021年、コープマイネルスはセリエAのアタランタに移籍。当初のアタランタでは守備的MFとしてプレーしていたが、徐々に攻撃的な役割の比重が高まっていった。すると、2023-24シーズンには主に攻撃的MFとしてプレー。それにより多くの得点に絡むようになり、同シーズンには公式戦15ゴール・7アシストをマークした。彼の多大なる貢献により、アタランタはクラブ史上初となるUEFAヨーロッパリーグ制覇を成し遂げている。
そして2024年8月、コープマイネルスはユヴェントスを新天地に選び、新たな挑戦を開始した。移籍金の総額は約6000万ユーロと見られており、多くの注目と期待が寄せられている。
オランダ代表キャリア
コープマイネルスのオランダ代表としてのキャリアは2015年に始まった。U17から各年代で活躍すると、2020年にフル代表デビュー。2022年のワールドカップでは全試合に出場し、準々決勝のアルゼンチン戦にてトリッキーなフリーキックで得点もアシストした。また、2024年にはUEFA欧州選手権のメンバーに選出されたが、怪我により出場を辞退している。
プレースタイル
ここからは、コープマイネルスのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼は中盤にて技術力と流動的なポジショニングのセンスを活かし、チームの攻撃の質を向上させる重要な役割を担うタイプである。
攻撃面の特徴
コープマイネルスの最大の武器は、高精度かつ強力な左足のキックである。彼は1〜2タッチでのパス回しを得意とし、テンポの速いプレーでチームの攻撃の起点となる。とりわけミドル・ロングレンジのパスセンスに秀でており、相手の守備ラインの隙間を突くスルーパスやサイドへのスムーズな展開により、チャンスを演出することが可能だ。また、セットプレーのキッカーも務めることが多く、特にコーナーキックやフリーキックでチャンスを創出する役割を果たしている。
加えて、コープマイネルスはペナルティエリアの外からシュートを狙うことが多く、中距離からの精度の高いシュートが得意だ。このため、相手が自陣で守備を固めてきた場面でも、彼の持ち前のキック力によってゴールを脅かすことが可能である。なお、2023-24シーズンには公式戦で15ゴール・7アシストを記録しており、精度の高いキックで得点を生み出す能力があることは証明済みである。
守備面の貢献
守備的ミッドフィールダーとしての素質を十分に兼ね備えているコープマイネルスは、ポジショニングと予測力を活かしてボールを奪取するのが得意である。前方へ積極的にプレスをかけに飛び出るというよりも、正確な位置取りで相手をマークしつつ、相手の次の動きを読んでボールを奪うシーンが多い。このため、無闇にスペースを空けることなく相手の前進を止めることが可能だ。また、フィジカル面でも強さを発揮し、中盤での競り合いに勝つことでチームの守備に安定感をもたらす。そしてボール奪取後は速やかに攻撃に移行し、先述したキック能力で素早くボールを展開できるのも大きな特徴である。
流動的な動き・戦術的柔軟性
コープマイネルスは豊富な運動量と優れたポジショニングセンスを有しており、チーム全体のバランスを見ながら、自身が取るべき適切なポジションに移動できる。そしてアタランタの3-4-1-2(3-4-2-1)システムの攻撃的MFとして起用された際には、彼のそうした能力が存分に発揮されていた。
組織力の高いアタランタにおいて、コープマイネルスは幅広く流動的に動きながらも周囲の味方との適切な距離感を維持。そうしてテンポ良くパスを繋いでいきながら相手の守備組織に穴を作り出し、そこへパスを送ったり自らが侵入したりというのが彼の得意パターンだ。例えば、味方がサイドを突破したときには自身がフィニッシャーとして中央エリアに構え、一方で自らがサイドに開いてボールを受けた際にはクロス等でチャンスメイク。このように、状況に応じたポジション取りやスペースの活用ができる点は、コープマイネルスの戦術理解度と柔軟性の高さを示しているといえるだろう。
ウィークポイント
技術とインテリジェンスに優れたコープマイネルスだが、一方でスピード面に関しては物足りなさが指摘されている。俊足ではなく、ドリブルによる推進力や突破力に限界があるため、アタッカーとして独力で局面を打開する役割はあまり向いていないだろう。それに関連し、周囲に適切なパスコースが見つからず、自身の特徴とする速いテンポのパス回しが難しい状況になると、彼のパス能力も制限されてしまう。したがって、コープマイネルスの魅力を存分に引き出すためには、選手間の密な連動性を重視するコレクティブなチーム作りが求められるだろう。
プレー動画
まとめ
トゥーン・コープマイネルスは左足のキック(パス、シュート)とポジショニングセンスに秀でており、自らに合う役割を与えられれば、チームに欠かせない存在となれるだろう。そして、ユヴェントスのチアゴ・モッタ監督が理想とするサッカーとコープマイネルスの能力は親和性が高いように見受けられる。今後、モッタの下でユヴェントスのサッカーが洗練されていくにつれ、コープマイネルスも自らの真価を発揮するようになるのではないだろうか。