アレハンドロ・ガルナチョは、アルゼンチン代表の有望アタッカーである。現在はイングランドのマンチェスター・ユナイテッドに所属し、積極的なプレーで注目を集めているところだ。この記事ではそんなガルナチョについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 2004/07/01 |
国籍 | アルゼンチン |
身長 | 180cm |
ポジション | MF/FW |
利き足 | 右 |
キャリア初期
アレハンドロ・ガルナチョは、2015年にアトレティコ・マドリードのユースチームに加入し、2020年まで約5年間活躍した。その後、2020年にマンチェスター・ユナイテッドのユースチームへ移籍(移籍金10万ポンド)。2021年7月28日にプロ契約を締結した。
2021-22シーズン、ガルナチョはU-18チームで主力として活躍し、11月頃にU-23チームへ昇格。プレミアリーグでは、第37節チェルシー戦で17歳にしてトップチームデビューを果たしたが、短い出場時間でボールタッチの機会はなかった。しかし、ユースレベルでの活躍が評価され、クラブのU-18年間最優秀選手賞を受賞。また、FAユースカップ決勝では逆転弾を含む2得点を挙げ、チームのタイトル獲得に大きく貢献した。
マンチェスター・ユナイテッドでの活躍
2022-23シーズン、ガルナチョは背番号を75から49に変更し、トップチームでの存在感が増すシーズンとなった。スタメンとしての試合では連携や安定性に課題を残す一方で、途中出場時には速さと突破力を活かし、試合の流れを変える選手として評価された。最終的には全公式戦で34試合に出場(先発11試合)し、5ゴール・4アシストを記録している。
続く2023-24シーズン、ガルナチョはマンチェスター・ユナイテッドのレギュラー選手として飛躍を遂げた。同シーズンは全公式戦で50試合に出場(41試合先発)し、10ゴール・5アシストを記録。プレミアリーグに限っても7ゴール・4アシストを達成している。中でもエヴァートン戦でのオーバーヘッドキックやFAカップ決勝での1ゴール1アシストは、ガルナチョの能力を象徴するプレーであり、チームの勝利に数多く貢献した。
一方で、頻繁な先発起用による疲労や、安定性の欠如、決定機でのフィニッシュの課題も浮き彫りとなった。特にシーズン後半には、フィニッシュの正確性や判断力の面で物足りなさが見られ、改善が求められる場面も多かった。それでも若干19歳で10得点を挙げたことは、マンチェスター・ユナイテッドの未来を担う選手としての期待を更に高めたといえるだろう。
アルゼンチン代表キャリア
ガルナチョはスペイン人の父とアルゼンチン人の母を持ち、どちらの代表でもプレーする選択肢があったが、2022年3月にアルゼンチン代表の招集に応じた。同年、アルゼンチンU-20代表としてトゥーロン大会に出場し、3試合で4得点を記録。大会最優秀若手選手賞を受賞し、ベストイレブンにも選出された。
すると2023年6月15日、オーストラリアとの親善試合でアルゼンチンA代表デビューを果たす。また同年には、クラブでの活躍が評価され、2024年のコパ・アメリカUSAの代表メンバーに選出された。同大会ではグループステージのペルー戦で初のメジャートーナメント先発出場を果たし、ディ・マリアやラウタロ・マルティネスとの連携でチームの勝利に貢献。大会を通じての出場機会は限られたが、経験を積むとともに、優勝トロフィー獲得を果たした。ディ・マリアの代表引退後は、出場機会が増えることが期待されている。
プレースタイル
ここからは、ガルナチョのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼はスピードとドリブル技術を武器とするウイングプレーヤーであり、主に左サイドでプレーするが、右サイドでもプレーできる柔軟な選手である。
ドリブル能力
ガルナチョの最大の特徴は、スピードとドリブル技術を活かしたサイド突破である。彼のドリブルはボールタッチの正確さに支えられており、ボールを体の近くに保ちながら、相手を振り切る動きが目立つ。特に、スピードを活かした縦への突破は効果的であり、多くのチャンスを創出可能だ。一方で、まだボディバランスに課題があり、単独でボールを運ぶ際に転倒やボールロストする場面も見られる。さらに、ドリブルパターンが単調なため、対戦相手に動きを読まれやすい点も課題である。
フィニッシュ精度
ガルナチョのフィニッシュワークについては、サイド突破からのクロスやカットインシュートが主要な武器である。右足が得意であるが、左足も一定のレベルで使用できるため、両サイドでプレー可能な点が戦術的な強みとなっている。
他方で、ガルナチョのシュートについてはその精度が比較的高く、正確なシュートによって、こぼれ球やコーナーキックを生み出す場面が多い、ただし、シュートの威力にはまだ改善の余地がある上に、左足でのシュート精度は右足に比べて劣るため、逆足シュート精度の改善も求められるだろう。
判断能力不足
現時点でガルナチョはサッカーインテリジェンスが十分でなく、それにより生じる問題として、チームメイトとの連携不足が挙げられる。彼の役割は主にサイドを突破し、相手守備を崩すことにあるが、ゴール前でのプレーでは周囲を見渡す視野が狭く、パスを選択すべき場面で無理にドリブルを仕掛けることが多い。これにより、ボールを失う場面が頻発しているのだ。
また、瞬時の判断力が不足しているため、1対1の状況や決定機で結果を出せないことがある。シュートやパスの質に波があり、好調時には強烈なシュートを放つが、不調時には絶好のチャンスを逃すことも少なくない。総じて、その優れたスピードやドリブル能力に対する判断能力の低さ、シュートの波といった特徴から、同じマンチェスター・ユナイテッドで台頭したマーカス・ラッシュフォードを彷彿とさせる選手である。
プレー動画
まとめ
ガルナチョはまだ若く、将来性に大きな期待が寄せられている。スピードを活かしたダイナミックなプレーはすでにハイレベルであるため、改善すべき点を克服することで、さらなる成長が期待できるだろう。特に判断力やチームプレーを磨くことができれば、リーグを代表するウイングプレーヤーへと進化するはずだ。