ジョナサン・デイヴィッドのプレースタイルを徹底解説:機動力と得点感覚に優れたストライカー

選手紹介

ジョナサン・デイヴィッド(デイビッド)は、カナダ代表の有望ストライカーである。フランス・リールでゴールを量産している彼は、2025年夏の移籍市場での移籍が有力視されている要注目選手だ。この記事ではそんなデイヴィッドについて紹介していきたい。

基本情報・成績

生年月日2000/01/14
国籍カナダ
身長178cm
ポジションFW
利き足両足

キャリア初期

2018年1月、デイヴィッドはカナダのオタワISCからベルギーのKAAヘントに加入し、8月のデビュー戦で初ゴールを記録。その後5試合で5得点を挙げ、チームとリーグで有望な存在となった。1年目はリーグ戦33試合で12得点をマークし、翌シーズンにはリーグ最高の選手と評されるまで成長。リーグ戦27試合で18得点、ヨーロッパリーグでも13試合で5得点を記録した。最終的にベルギーリーグで83試合37得点を記録し、有望選手としての実力を証明している。

リールでの活躍

2020年8月、デイヴィッドはフランスのリールへ移籍し、カナダ人選手として史上最高額の移籍金を記録。2020-21シーズン序盤は適応に苦しんだが、11月に公式戦初ゴールを決めると徐々に調子を上げた。2021年に入ると本領を発揮し、リーグ戦で決定的なゴールを重ね、PSG戦やリヨン戦などの大一番でも得点を記録。最終的にリーグ戦13ゴールを挙げ、チームの10年ぶりのリーグ・アン制覇に大きく貢献した。

続く2021-22シーズン、デイヴィッドは好調なスタートを切り、リーグ戦序盤に複数ゴールを記録し、UEFAチャンピオンズリーグでも重要なゴールを挙げた。特にグループステージでは決定的な活躍を見せ、リールの首位通過に貢献。しかし、シーズン中盤以降は得点力が低下し、74日間無得点の時期を経験。チームも前年の優勝から一転して低迷し、リーグ戦10位に終わった。デイヴィッド個人は最終的に公式戦19ゴールを記録した。

2022-23シーズンも、デイヴィッドは開幕戦で複数ゴールを決め好スタートを切った。新監督パウロ・フォンセカの4-2-3-1のワントップシステムに適応し、得点力が向上。リーグ戦ではエデン・アザールのクラブ記録を更新し、最終的に24ゴールを挙げ、得点ランキング3位に入った。また、こうしたパフォーマンスが評価され、リーグ・アン年間最優秀選手賞のファイナリストにも選出。シーズンを通じて欧州のビッグクラブからの関心を集め、移籍市場で注目の存在となった。

2023-24シーズンは、前半戦こそ低調で17試合5ゴール・1アシストにとどまったが、2月以降に復調。クレルモン戦での複数ゴール、ル・アーヴル戦でのハットトリックなどで勢いを取り戻し、最終的に26ゴール・8アシストをマークし、リーグアン得点ランキングでラカゼットと並ぶ2位に。攻撃陣の中心として存在感を示し、再び評価を高めた。

カナダ代表キャリア

デイヴィッドは、2018年9月のデビュー戦で2ゴール1アシストを記録し、カナダ代表の主力に定着。2019年のゴールドカップでは6ゴール・2アシストの活躍で得点王に輝いた。さらに2022年W杯予選では9ゴール・5アシストを記録し、カナダの36年ぶりのW杯出場に貢献。しかし本大会では全試合に出場したが、目立った活躍はできず。続く2024年コパ・アメリカでは背番号10を背負い、初戦のアルゼンチン戦で積極的な動きを見せたが得点には至らなかった。

プレースタイル

ここからは、デイヴィッドのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼は、特にオフザボールの動きに秀でたラインブレイカー型のストライカーである。

多様なオフザボールの動き

デイヴィッドは、相手ディフェンスラインの前で構えつつ、その背後にあるスペースへ抜け出す動きを得意とする。さらに、現代サッカーで重要とされるハーフスペースへの侵入にも積極的である一方、ペナルティエリア内ではマーカーを巧みに惑わしながらフリーなポジションをつくり出す。このようにペナルティエリア内外を問わず、その機動力を活かした多様なオフザボールの動きが彼の最大の武器である。そのため、味方からのパスを受ける際にゴールキーパーとの1対1比較的プレッシャーの少ない状況を生み出しやすいのだ。

シュート能力

デイヴィッドはゴール前での冷静さと高い得点感覚を併せ持ち、無駄なシュートをほとんど打たないのが特徴である。というのも、両足を器用に使えるため、あらゆる角度からシュートを放つことができる。また、ボックス内だけでなく、その手前からでも適切な位置取りを行い、スピーディーかつタイミングの良い飛び出しによってフィニッシュにつなげることが得意だ。その結果、安定したゴール数を記録し続けるストライカーとして周囲から信頼を得ている。

身体能力

デイヴィッドは身長178cmと決して大柄ではないが、若い頃から身体能力が高いと評価されてきた。スピードと瞬発力に優れ、狭いスペースでも相手を振り切ることができる。また、フィジカルの成長に伴い、背後からの圧力を受けながらでもキープやターンを行う力が向上している。これにより、最前線でボールを収めて味方の攻撃をサポートする場面も増えた。

守備能力

デイヴィッドは前線から果敢にプレスを仕掛けるタイプであり、チームの守備においても貢献度が高い。彼の持ち味とする機動力は攻撃だけでなく守備時にも有効で、相手のビルドアップを妨害し、味方がボールを奪いやすい状況を作り出す。試合を通じて運動量が多い点も、彼のプレースタイルを支える重要な要素である。

ウィークポイント

デイヴィッドのオンザボール時のプレーは、オフザボールほどのインパクトがなく、影響力は低めといえるだろう。基本的なボールタッチやスキルが低いわけではないが、長くボールを保持して自ら打開するよりは、素早いパス交換やシンプルな運びで攻撃につなげる傾向にある。そのため、試合展開によってはボールに関わる時間が短く、存在感がやや希薄になる場面も少なくない

プレー動画

まとめ

ジョナサン・デイヴィッドは、優れたオフザボールの動きで相手守備を切り裂くラインブレイカー型ストライカーである。また両足を器用に使い、多彩なフィニッシュを決められる得点感覚とゴール前での落ち着きが大きな武器だ。身長は高くないがスピードとフィジカルを併せ持ち、最前線でのキープやディフェンスへのプレスにも積極的に関与するため、チーム戦術に合わせた柔軟な活躍が期待できる。一方、オンザボール時のプレーにおいては、相手をドリブルで圧倒するタイプではなく、シンプルな連携を重視する傾向がある。総合的には、現代サッカーで求められる「裏抜け」「機動力」「決定力」を高水準で兼ね備えたストライカーといえるだろう。