サンティアゴ・ヒメネスは、メキシコ代表のストライカーである。現在はオランダの名門フェイエノールトに所属し、得点源として活躍しているところだ。この記事ではそんなヒメネスについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 2001/04/18 |
国籍 | メキシコ |
身長 | 183cm |
ポジション | FW |
利き足 | 左 |
キャリア初期
ヒメネスは、メキシコのクルス・アスルのユース出身で、16歳でトップチームデビューを果たした。2019年からリーグ戦に定期的に出場し、2020-21シーズンにはチームの主力となり36試合で6ゴールを記録。翌2021-22シーズンには35試合で7ゴールを挙げる活躍を見せ、この頃から欧州クラブの注目を集め始めた。
フェイエノールトでの活躍
2022-23シーズン、ヒメネスはフェイエノールトへ移籍し、欧州挑戦を開始。UEFAヨーロッパリーグではシャフタール相手に得点を記録し、チームを準々決勝進出に導いた。リーグ戦ではアヤックス戦での得点を含む重要なゴールを挙げ、最終的に44試合(43試合先発)で23ゴール・3アシストを達成。エールディヴィジ優勝に貢献し、チームの得点王にも輝いた。
翌2023-24シーズンも、ヒメネスはエールディヴィジで圧倒的なパフォーマンスを見せ、冬の中断時点でリーグ16試合で18ゴール・4アシストを記録(後半戦はペースを落としたが、それでも最終成績は41試合で26ゴール・8アシスト)。UEFAチャンピオンズリーグにもデビューし、SSラツィオ戦で複数ゴールを挙げるなど、欧州の舞台でも実力を発揮した。この活躍により、シーズン後の移籍市場ではトッテナムやアーセナル、バルセロナ、アトレティコ・マドリードなど多くのビッグクラブが関心を示したが、最終的にフェイエノールト残留となった。
メキシコ代表キャリア
ヒメネスはアルゼンチン生まれでありながらメキシコ国籍も持っていたため、両国の代表から注目された。すると2020年9月、メキシコ代表のヘラルド・マルティーノ監督の招集を受け、最終的にメキシコ代表を選択。2021年10月のエクアドル戦でA代表デビューを果たし、同年12月のチリ戦で初ゴールを記録するなど、将来を嘱望される存在となった。
プレースタイル
ここからは、ヒメネスのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼は「生粋の点取り屋」と形容されるタイプのストライカーであり、ペナルティエリア内でのフィニッシュワークを最大の武器としている。そして、そうしたスタイルを支えているのが彼の持つ強靭なフィジカルと優れたオフザボールの動きである。
身体能力
ヒメネスの身長は183cmで、決して巨大というほどではないが、肩幅のあるがっしりとした体格によって対人プレーでの存在感が際立つ。背後からの圧力を受けながらもボールをキープし、そこから味方に的確なパスを出す能力は、アルネ・スロット監督下で磨かれた。また、背を向けた状態でのプレーにおいては、クイックな足さばきと上半身の強さを活かすことで、相手DFのプレッシャーをいなしながらターンして抜け出す場面も多い。加えて、ペナルティエリア内では足元の細かいボールコントロールが巧みであり、フェイントや一瞬のコース変化によってシュートスペースを生み出す能力に長けている。
シュート能力
ヒメネスの最大の特長は、なんといっても得点感覚と優秀なフィニッシュ精度にあるだろう。特に左足のシュートはパワーとコントロールを兼ね備えており、ゴールの隅を正確に射抜くことができる(右足も使えないわけではないが、パワーや精度は左足に比べると若干落ちる印象がある)。
また、ヒメネスはボックス内でのブラインドサイドラン(相手ディフェンダーの視野外からの侵入)が特徴的で、相手マークを外す動きが非常に優れている。この動きにより、彼は相手ディフェンダーの裏を突き、得点チャンスを効率的に生み出すことに成功。先述したシュートセンスと相まって、期待値(xG)を上回るゴール数を叩き出すなど、最後の一手を正確に突き刺す点取り屋としての資質を存分に示しているのだ。
ヘディング能力
ヒメネスはヘディングでも、高い打点と強烈なパワーで得点を狙うことができる。特に、先にも触れた絶妙な動き出しにより、相手より優位なポジションを先に取ってヘディングシュートを叩き込む形が目立つ。一方、ゴールキックやクリアボールの競り合いなど、純粋な空中戦で相手をはじき飛ばす強さに関してはまだ課題が残る。対人の競り合いで勝てないわけではないが、ペナルティエリア外のロングボールに対する対応を向上させれば、より多面的なストライカーへと成長できるだろう。
ゴール前への飛び出し
ヒメネスは決して圧倒的なスピードを持つタイプではない。体格がしっかりしている分、トップスピードでの伸びは平均的だといえる。しかし、瞬間的な加速力とオフザボール時の巧妙さにより、ディフェンスラインの背後を突くプレーを得意としている。特にカウンターの局面では自らがボールを持ち込むだけでなく、味方のウィンガーが速い場合には正確なパスを出してサポートに回り、自身はゴール前に詰めてクロスやリバウンドを狙う動きを見せる。こうした連携面における効率性も、彼がゴールゲッターとして点を量産する理由である。
プレーの幅
また、ヒメネスは味方と連動して攻撃を組み立てる能力にも長けている。例えば自身が下がり目でパスを受け、代わりに味方の攻撃的MFが裏に飛び出す動きを見せることで、相手守備陣に混乱を生じさせるといった形だ。ただし、同じように下がってプレーするゲームメイカー型のストライカーに比べると、ヒメネスはよりゴール前にとどまり、裏へ抜けるランを優先する傾向が強い。そのため、彼は前線でのスペースメイク役に比重を置くスタイルよりも、点取り屋としてゴールを奪うことに集中する役割が向いているだろう。
守備能力
ヒメネスの守備面には課題が残る。プレスの強度や連続したチェイシングなど、最前線から相手のビルドアップを制限する動きを得意とはしていない。近年の欧州ビッグクラブが前線からのハイプレスを重要視していることを考えると、今後ヒメネスは自身のファーストプレッシャーの質を高めていく必要があるだろう。
プレー動画
まとめ
総じて、サンティアゴ・ヒメネスは優れたフィジカル、左足を中心とした多彩なフィニッシュスキル、そしてペナルティエリア内での抜群の位置取りによってゴールを量産するストライカーである。まだ23歳と若く、エールディヴィジでの活躍からビッグリーグへの移籍が目前と見られている。プレミアリーグをはじめとするトップ5リーグのクラブが彼に注目するのは当然であり、実際に移籍となれば、その攻撃力をより高次元で証明する舞台が整うことになるだろう。彼が欧州の強豪リーグでも強烈なインパクトを残すかどうか、その答えはそう遠くない未来に明らかになるはずである。