ウォーレン・ザイール=エメリのプレースタイルを徹底解説:チームの攻撃を加速させる天才ミッドフィルダー

選手紹介

ウォーレン・ザイールエメリは、フランス出身のミッドフィルダーである。現在はパリ・サンジェルマンに所属し、若くしてトップチームで活躍する超有望株だ。この記事ではそんなエメリについて紹介していきたい。

基本情報・成績

生年月日2006/03/08
国籍フランス
身長178cm
ポジションMF
利き足

キャリア初期

ザイール=エメリは2014年にPSGのアカデミーに加入。2021-22シーズンのUEFAユースリーグでは、3~4歳年上の相手に対しても際立ったパフォーマンスを見せるなど、大きな注目を集めた。

2022-23シーズンを前にPSGとプロ契約を結び、プレシーズンの日本ツアーにも参加。そして2022年8月6日、クレルモン戦でクラブ史上最年少となる15歳でプロデビューを果たした。さらに2023年2月2日のモンペリエ戦では、16歳10カ月24日で初ゴールを記録し、PSG史上最年少得点者となった。その後もリーグ戦やチャンピオンズリーグの舞台で存在感を示し、クラブの将来を担う逸材としての評価を確立。夏の移籍市場では他クラブからの関心があったものの、パリでのプレー継続を選んだ。

パリ・サンジェルマンでの活躍

エメリの2023-24シーズンは、飛躍と試練の両面を経験したシーズンだった。開幕から契約延長の話が持ち上がるほど評価が高く、ルイス・エンリケ監督の下で中盤の主力として起用された。チャンピオンズリーグ・グループステージ第3節のACミラン戦では2アシストを記録し、大会アシストランキングで首位に立つとともに、自身初のMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に選出。リーグ戦でもブレスト戦、モンペリエ戦で連続ゴールを挙げるなど、攻撃面での貢献が際立った。

しかし、ジブラルタル代表戦で負傷し、その後のパフォーマンスに影響を与えた。復帰後はナント戦で途中出場し、ドルトムント戦では再びロングシュートでゴールを決め、チームの決勝トーナメント進出に貢献。グループステージ最多となる4つの攻撃ポイントを記録し、2度目のMOMに輝いた。

4月28日にはPSGと2029年までの長期契約を締結。しかし、シーズン後半は序盤のような安定した活躍を続けられず、パフォーマンスの波が課題として浮き彫りになった。来季以降はこの浮き沈みを克服し、中盤の軸として成長できるかが鍵となる。

フランス代表キャリア

エメリのフランス代表でのキャリアは、各年代別代表での活躍を経て急速に進展した。U-17欧州選手権(2022年)ではチーム最年少ながら優勝に貢献し、2023年9月にはティエリ・アンリ監督率いるU-21代表に選出。キャプテンとして試合に出場するなど、若くしてリーダーシップを発揮した。

同年11月にはA代表に初招集され、19日のジブラルタル戦で先発デビュー。13分に代表初ゴールを決め、14-0の大勝に貢献したが、その直後に負傷し途中交代となった。2024年にはユーロ2024のメンバーに選ばれたものの出場機会はなく、さらにオーバーワークを懸念され、パリ五輪への参加も認められなかった。

その後、2024-25シーズンのUEFAネーションズリーグに招集され、イタリア戦でカンテに代わって途中出場。しかし、試合後に左ふくらはぎを負傷し、次戦のベルギー戦を欠場。代表では飛躍の兆しを見せつつも、負傷による不運が続いている。

プレースタイル

ここからは、エメリのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼は非常にダイナミックなミッドフィルダーであり、攻守に貢献できる現代型の選手である。

優れたダイナミズム

エメリの最大の特徴は、攻守両面における優れた機動力ボール扱いの柔軟さだ。攻撃面では、積極的なパスとドリブルによって前線へ素早くボールを運ぶ能力が際立つ。パス成功率が非常に高く、ドリブル成功率も概ね2/3ほどと安定感があるため、守備から攻撃へのトランジションをスムーズに行うことが可能だ。インターセプトに成功した直後にも、素早くパスやドリブルで仕掛けるので、相手の守備陣形が整う前に決定機を生み出せる点が強みである。

チャンスメイク能力

エメリのプレーを支える重要なポイントの一つが、その視野の広さである、彼は広くピッチを見渡しながらボールを動かすため、攻撃の起点として機能しつつ、適切なタイミングで味方にボールを供給できる。特にサイドへ流れた際や、中盤でフリーでボールを受けて前方にスペースがある状況では、ドリブルで仕掛けながら鋭いカットバックや縦パス(スルーパス)で相手の守備を崩すことが可能だ。例えば2023-24シーズンのCLミラン戦では、ドリブル突破で数的優位を作り出しつつ、味方へとラストパスを供給して2アシストを記録している。

戦術的柔軟性

さらに、戦術的柔軟性もエメリの大きな魅力である。普段は中盤のセンター付近で起用されることが多いが、チーム状況やフォーメーションに応じて、サイドのミッドフィールダーウイングのような役割も担う。サイドライン際でもボールを失わずに前進するドリブル能力や、守備時に外から絞る動きができるため、監督の構想に合わせて多様なポジションに対応できるのだ

守備能力

守備面でも、エメリの動きは積極的かつ効率的である。彼は単に走り回るのではなく、相手のパスコースを読み、先回りする形でインターセプトを狙うことが多い。また、身体的な強さと俊敏性を兼ね備えているため、球際の競り合いでも大きく後れを取らない。セットプレー時の貢献度はそれほど高くないという指摘もあるが、流れの中での守備や被カウンター時の対応など、動的な局面には素早く反応できる。さらにはポジション取りやマークの受け渡しにおいても、年齢を感じさせない落ち着きがある。

ウィークポイント

しかしながら、エメリはまだ若いということもあり、コンディションや試合ごとのパフォーマンスには波がある。一度リズムを崩すと簡単なミスや雑なプレーが目立ち、ファンから疑問を呈されることも少なくない。一方、それを補って余りある才能と伸びしろが評価され、ミスがあっても積極的にプレーし続ける姿勢が信頼を集めてもいる。今後は積極性を維持しつつも、プレーの精度や安定感を高めていくことが求められるだろう。

プレー動画

まとめ

ザイール=エメリは、素早い攻守の切り替え、正確なパスやドリブル、柔軟なポジショニングを武器にチームへ多大な貢献を果たすミッドフィールダーである。まだ18歳(2025年2月時点)という若さを考えれば、そのポテンシャルの高さは計り知れない。近い将来、彼はPSGやフランス代表における中核へと成長し、世界的なスターとして活躍する可能性を秘めているといえるだろう。