フェデリコ・キエーザのプレースタイルを徹底解説:大舞台で魅せる緩急自在のドリブラー

選手紹介

フェデリコ・キエーザは、イタリア代表のアタッカーである。2024-25シーズンにイングランド・リバプールに移籍し、国外での新たな挑戦を開始している。この記事ではそんなキエーザについて紹介していきたい。

基本情報・成績

生年月日1997/10/25
国籍イタリア
身長175cm
ポジションFW
利き足

キャリア初期

キエーザはセッティニャネーゼでユースキャリアを開始し、2007年にフィオレンティーナのユースアカデミーに加入した。2016-17シーズンに同クラブでトップチームデビューを果たすと、後半戦にはレギュラーに定着。フィオレンティーナでは4シーズンにわたってプレーし、通算153試合で34ゴール・26アシストを記録している。

ユベントスへの移籍

2020年6月、キエーザはユヴェントスへと加入した。初年度から主力としてプレーを続け、在籍4シーズンで131試合に出場し32ゴール・23アシストを記録。チームタイトルとしては二度のコッパ・イタリア制覇とスーペルコッパ・イタリアーナの優勝に貢献している。しかしながら、スクデット(国内リーグ優勝)には手が届かず、また本人も在籍後半は大怪我や不慣れな役割・ポジションでの起用によってなかなか本領を発揮し切れなかった。最終的には契約延長交渉の難航を機に構想外となり、退団することとなった。

リヴァプールへの移籍

2024年8月末、キエーザはイングランドのリヴァプールへと移籍。しかし、夏のプレシーズン期間中にほとんど本格的なコンディション調整を行えなかったことで、新チームへの適応が大きく遅れることに。9月のチャンピオンズリーグでデビューを果たすも、それから11月現在まではベンチ外がほとんどという状況になっている。

イタリア代表キャリア

2018年3月、キエーザはイタリアA代表でデビュー。そのまま代表に定着し、EURO(欧州選手権)にも2大会出場している。

特に、キエーザの知名度を劇的に高めたのがEURO2020である。同大会にて、彼はベスト16のオーストリア戦で決勝ゴールを挙げ、準決勝のスペイン戦でもゴールを記録。さらには決勝のイングランド戦でも印象的なパフォーマンスを披露するなど、イタリア代表のEURO制覇に大きく貢献した。なお、彼は個人としても同大会のベストイレブンに選出されている。

プレースタイル

ここからは、キエーザのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼はスピードテクニック、そしてアジリティ(敏捷性)を融合させたプレーを特徴としており、両足を起用に使いこなすため、相手ディフェンダーに的を絞らせずにプレーすることができる。また、ポジションも両ウイングに加え、中央でも起用されるユーティリティータイプである。

ドリブル能力

キエーザのドリブルスタイルを端的に表現する上では、「積極性」と「予測不可能性」がキーワードとなるだろう。彼のドリブルはただスピードに頼るのではなく、持ち前のアジリティを活かしたキレのあるボディフェイント、シュートフェイントを駆使することで多方向へ素早く切り返し、相手ディフェンスを翻弄。一試合平均で5回近くもの1対1突破を試み、成功率凡そ50%を記録している。この数値は彼のリスクを厭わないプレースタイルの表れであり、時に効率性を失う場面こそあるが、それでも相手守備陣にとって非常に脅威となる存在だ。

また、キエーザは左右両サイドでハイレベルな仕掛けを行えるが、傾向として左サイドではよりアジリティを活かし、ペースに依存しない柔軟な打開を行う一方、右サイドではよりスピードを活かした直線的な突破を好むように見受けられる。ただし、近年は大怪我の影響やコンディション不良によって、キレがやや失われつつあるとの指摘もなされているところだ。

クロス能力

ドリブル突破後、キエーザの大きな武器の一つとなるのがクロスである。ユヴェントス在籍時代の彼は1試合平均で凡そ4回のクロスを供給し、その40%がターゲットに届いていた。また、クロスに際しても両足を自在に使いこなすことで、相手守備の隙を見極めつつ、動きながらでも適切なエリアにボールを届けることが可能だ。

チャンスメイク

クロス以外にもキエーザは、スピードを伴うプレー中でも視野を確保し、味方に高品質なパスを供給できる。特にリスクを恐れない前進志向のパスや、相手守備ブロックの隙を突いて放たれる創造的なキラーパスは、彼のアグレッシブなプレースタイルを象徴しているといえるだろう。試合を通じて安定したパス精度は求められないが、そのリスクを取る姿勢が攻撃を活性化させる要因となっているのだ。

シュート能力

キエーザは両足を使ったシュートが可能であるため、ゴール前の最終局面でも相手ディフェンダーの動きに応じ、柔軟にシュートコースを選択できる。また、ゴール隅を狙ったコントロールシュートや相手の対応に先んじて放たれるパワーシュートなど、その種類も豊富だ。しかし、シュート精度には課題があり、決定機でのミスやシュート選択の未熟さが見られる。特に、シュートを大きく枠外に外すシーンも見られるなど、20代後半を迎えた現在でもフィニッシャーとしての成熟度の物足りなさは否めない。

守備能力

もともとキエーザは豊富な運動量を活かした守備への積極性も評価されており、タックル数なども多かった。しかし、近年はそうしたプレーは減少傾向にある。また、総合的な守備能力にも疑問符が付けられており、特にユベントス在籍時代の晩年には、ファーストディフェンダーとしての機能性が高くなかった。今後は守備においても積極的な姿勢を取り戻すとともに、戦術的な理解を深めることも求められるだろう。

ウィークポイント

ここまででキエーザの欠点についても複数言及してきたが、その他にもウィークポイントとしては空中戦が挙げられるだろう。ロングボールの競り合いにおける貢献度は極めて限定的であるため、彼をセカンドストライカーとして起用するなどして前線に配置する場合、そうした彼の弱点を補うチーム作りが求められる。

また、怪我のリスクにも注意が必要だ。2022年1月に負った左膝前十字靭帯断裂からの復帰以降、長期離脱こそないが細かい負傷や筋肉系のトラブルが増加傾向にある。それによりキエーザのコンディションも安定しておらず、プレーのキレや継続性に悪影響を及ぼしている側面は小さくないだろう。彼の魅力的な能力が怪我によって台無しにならないよう、これまで以上に入念なコンディショニングに期待したい。

プレー動画

まとめ

フェデリコ・キエーザは、多才な攻撃力と勇敢なプレースタイルで現代サッカーにおいて重要な役割を果たす選手である。現状抱えている問題は少なくないが、リスクを厭わず重要な場面で決定的な仕事をこなすユニークな能力は、チームにとって大きな武器となるだろう。将来的には怪我を克服し、安定したパフォーマンスを維持することで、完全復活を果たすことに期待したい。

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