ランダル・コロ・ムアニのプレースタイルを徹底解説:身長とスピードを兼ね備えたストライカー

選手紹介

ランダル・コロ・ムアニは、フランス代表のストライカーである。2025年1月、彼はイタリア・ユベントスへのレンタル移籍が決定的となっており、停滞気味のキャリアに変化が生じることが期待されいる。この記事ではそんなコロムアニについて紹介していきたい。

基本情報・成績

生年月日1998/12/05
国籍フランス
身長187cm
ポジションFW
利き足

キャリア初期

幼少期のコロムアニはヴィルパント、トランブレ、トルシーなど複数の地元クラブでプレーし、その後イタリアのヴィチェンツァやクレモネーゼでもトレーニングを受けた経験を持つ。すると2015年にナントのユースアカデミーに加入し、2017年2月に初めてトップチームに招集。2018年6月にはプロ契約を締結した。同年11月にリーグ・アンのサンテティエンヌ戦でプロデビューを果たし、翌年1月にはアンジェ戦で初スタメンを飾っている。

2019年8月、コロムアニはフランス3部リーグのブローニュへレンタル移籍し、リーグ戦で3得点5アシストを記録。2020-21シーズンからナントに復帰し、クラブの残留に貢献する重要な選手となった。このシーズンではリーグ戦37試合に出場し、9得点9アシストを記録。翌シーズンにはフランスカップ優勝を果たし、自身初のタイトルを獲得している。

フランクフルトへの移籍

2022年夏、コロムアニはナントからアイントラハト・フランクフルトにフリー移籍で加入し、初シーズンからチームの中心選手として活躍した。2022-23シーズン、彼は公式戦46試合に出場(うち43試合で先発)し、23ゴール・14アシストを記録。ブンデスリーガでは得点ランキング3位、アシストランキング2位、スコアポイント(得点+アシスト)ではリーグ1位に輝いた。この活躍により、フランクフルトの攻撃の柱としての地位を確立した。

特にチャンピオンズリーグのグループステージ最終節での決勝ゴールや、リーグ戦での重要な得点によってチームの成功に大きく貢献。特に鎌田大地との連携で数々の得点機会を生み出し、そのテクニックとフィジカルの強さが高く評価された。

このパフォーマンスにより、シーズン途中からプレミアリーグをはじめとするビッグクラブの注目を集め、移籍市場での評価も急上昇。フランクフルトでの1年間は、コロムアニの能力をヨーロッパ全体に知らしめるブレイクスルーのシーズンとなったのだ。

パリ・サンジェルマンでの苦戦

2023年夏、コロムアニはクラブ史上最高額()の移籍金でPSGに加入し、フランス国内で高い期待を受けた。しかし、トップおよびウイングのポジションで自身の地位を確立することができず、期待外れの結果に終わった。2023-24シーズンには公式戦40試合に出場(うち22試合で先発)し、9ゴール6アシストを記録したが、継続的なインパクトを残すことはできず。また、チーム内での競争やルイス・エンリケ監督の戦術との相性も課題となった。

2024-25シーズンに入ると、競争相手が負傷しているにもかかわらず中々出場機会を得られず、次第に戦力外に近い状況に追い込まれた。そして2025年1月、ユベントスへのレンタル移籍が決定的となっている。

フランス代表キャリア

フランス代表として、コロムアニは2022年カタールW杯で注目を集めた選手だ。準決勝のモロッコ戦では決勝ゴールを挙げ、チームを決勝進出に導いた。決勝のアルゼンチン戦でもPKを獲得するなど貢献したが、延長戦終了間際に決定機を逃し、チームはPK戦の末に敗れた。

その後もUEFA欧州選手権2024の予選や本大会に出場し、特に準決勝のスペイン戦ではヘディングによる得点を記録するなど、重要な役割を果たした。今後は、長らく代表の主力ストライカーを務めたオリヴィエ・ジルーの代表引退に伴い、フランス代表の新たなストライカー候補として期待されている。

プレースタイル

ここからは、コロ・ムアニのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼は187cmと高身長ながら、同時に35.97km/hのトップスピードを誇る選手である。また、その特徴的なプレースタイルは攻撃における多彩な能力と、いくつかの改善すべき課題に基づいている。

優れた打開能力

まず、コロ・ムアニのプレースタイルの最大の強みは、先述したスピードと高さを組み合わせたユニークな能力である。高身長ながら非常に機動力が高く、長いストライドを活かして前線でボールを受け、するりと反転してカウンターアタックを仕掛けるプレーが得意である。フランクフルト所属時には、そのスピードを武器にドリブルで相手をかわし、決定的な場面を次々と演出していた。

ストライカーとしての能力

コロ・ムアニは前線のストライカーとして、オフ・ザ・ボールオン・ザ・ボール双方の動きに優れている。第一にゴール前でのポジショニングが巧みであり、素早い動きで相手ディフェンダーの裏を取り、得点機会を作り出せるタイプだ。

また、彼はポストプレー少し下がってのリンクプレーにも対応可能である。高身長ゆえのリーチの長さと優れた身体能力を活用してボールをキープし、味方へのパスや攻撃の起点となる場面が多い。なお相手ディフェンダーとの接触プレーに際しては、身体を上手く使いながら衝撃を抑えつつ、相手をかわして突破するスタイルを好む。

チャンスメイク

コロ・ムアニは利他的な側面を合わせ持ち、味方を活かすプレーも特徴的である。自ら得点する可能性が低い場面では、適切なタイミングで味方にボールを供給する。また、ボール保持時には相手ディフェンダーを引きつけつつ、素早い判断でパスを繋ぎ、攻撃を展開するプレーも得意だ。

ウィークポイント

一方で、コロ・ムアニには克服すべき課題も存在する。その最たるものがボールタッチの精度の不安定さである。スピードを活かしたドリブルは非常に有効だが、ファーストタッチやボールコントロールが不十分な場面が少なくなく、ボールロストが発生しやすい。このような彼のミスは得点力やパフォーマンス全体の低下につながるものであり、プレーの安定感を下げている主因となっている。

また、彼のドリブルは直線的であることが多く、仕掛けの形にあまり柔軟性がない。そのため、チームの崩しの場面において戦術的な連携が求められる際には影響力が限定されることがある。さらに、高身長にもかかわらず体格が細めであるため、純粋なボディコンタクトの強さにやや欠ける部分があるのも否めない。

プレー動画

まとめ

コロ・ムアニは多くの強みを持つ選手であり、特にそのスピードと高さの組み合わせは稀有である。今後、ボールタッチの精度を向上させ、より多様な戦術に適応することで、彼のプレースタイルはさらなる進化を遂げる可能性が高い。また、体格面での強化が進めば、フィジカルを活かしたプレーにも磨きがかかり、ビッグクラブでも攻撃の中心として活躍する可能性が高まるだろう。