ロドリのプレースタイルを徹底解説:バロンドールを獲得した世界最高の万能型ミッドフィルダー

選手紹介

ロドリ(本名:ロドリゴ・エルナンデス・カスカンテ)は、現在マンチェスターシティでプレーするスペイン出身のミッドフィルダーである。名将ペップ・グアルディオラをして「現代最高のミッドフィルダー」と言わしめ、実際に2024年のバロンドールを受賞。名実ともに世界トップに上り詰めた。この記事ではそんなロドリについて紹介していきたい。

基本情報・成績

生年月日1996/06/22
国籍スペイン
身長191cm
ポジションMF
利き足

キャリア初期

ロドリは幼少期、ラージョ・マハダオンダとアトレティコ・マドリードのユースチームに在籍したが、2013年にフィジカルの不足からアトレティコを離れ、ビジャレアルに移籍した。そして2015年にトップチームデビューを果たし、それからビジャレアルでは通算84試合に出場して2ゴール・6アシストを記録。すると、2018年にはアトレティコ・マドリードに復帰することになる。

復帰後のアトレティコでは1シーズンのみの在籍になったが、チームの主力として公式戦47試合に出場し、3ゴール・1アシストを記録した。ここでのパフォーマンスが高く評価された結果、2019年にプレミアリーグの強豪マンチェスター・シティが6250万ポンドの移籍金でロドリを獲得。これはクラブ史上最高額の移籍となった。

マンチェスター・シティへの移籍と成功

マンチェスター・シティ加入後、ロドリは瞬く間にチームの中心選手として重要な役割を担うようになり、2020-21シーズンから2023-24シーズンまでのプレミアリーグ4連覇に大きく貢献。また、2022-23シーズンにはシティがFAカップとUEFAチャンピオンズリーグも制し、クラブ史上初のトレブルを達成した。その中でロドリはチャンピオンズリーグ決勝で優勝を決めるゴールを記録しており、試合の最優秀選手にも選出されている。

スペイン代表キャリア

ロドリは2018年にスペインA代表デビューを果たした。その後は2021年のEURO2020、2022年のワールドカップに参加するも、それぞれベスト4、ベスト16で敗退。しかしながら、2023年のUEFAネーションズリーグ決勝では大会最優秀選手に選出され、チームを優勝に導いた。さらには2024年のEURO2024でもスペインの優勝に大きく貢献。この活躍により大会最優秀選手に輝くだけでなく、2024年のバロンドール受賞にも繋がったのだ。

プレースタイル

ここからは、ロドリのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼はディフェンシブミッドフィルダーとしてあらゆる能力を兼ね備えた正真正銘の「万能型」であり、明確な欠点の見当たらないオールラウンドな選手である。

守備力とトランジション局面の支配

ロドリの大きな特徴といえるのが、その卓越した守備力である。彼はボールの行方を予測する力とポジショニングセンスに優れているため、相手の攻撃を事前に察知し、正確なタイミングでインターセプトやタックルを仕掛けることができる。また、彼のタックルは非常に的確であり、ファウルを極力避けるため、危険な場面でのファウルも少ない。

そして、ボール奪取後には冷静にボールをキープし、自チームの攻撃へとシームレスにつなげていく役割を果たすことができるのもロドリの魅力である。攻守の切り替えが速い現代サッカーにおいて、彼の冷静かつ的確な判断に基づくプレーというのが、マンチェスター・シティの攻守に絶大な安定感をもたらしているのだ。

ビルドアップとパスの精度

ロドリは、マンチェスター・シティのビルドアップにおいて中心的な役割を担っている。彼はゲームの流れをコントロールする能力に優れており、1試合平均で約100本のパスを出しながらチーム全体のリズムを司る。そのパスは短いものから長いものまで非常に正確で、パス本数・成功率ともにプレミアリーグの中でトップクラスだ。

ロドリは過度なリスクを避けつつ、安定したビルドアップを心がける。そのため、味方選手が攻撃の準備を整えるまでのつなぎ役として非常に信頼性が高い。また、試合中に相手からプレッシャーをかけられた場面でも、正確なボールコントロールと視野によって冷静にパスコースを見出し、ボールを失わずに次の展開へとつなげることができる。こうしたロドリのパフォーマンスにより、シティはスムーズかつ安定したビルドアップを実現。それと同時に、相手に危険な形でボールを渡す機会を減少させることで、守備の負担軽減にも貢献しているのだ。

一方、ロドリがペースを上げるときは、対角線へのロングパス・ロブパスや相手ディフェンスラインを切り裂く縦パスによって相手の隙を突き、チャンスを演出する。シティへの加入当初は先述したビルドアップの安定性を重視し、安全志向のパスを多用する傾向が見られたが、時間の経過とともに適応。今では安定性と積極性を両立し、状況に応じた最適なパスを選択できる選手となっている。

ボールキープ・ドリブル

ロドリの安定性を支える要素として、彼のボールキープ能力の高さにも触れておきたい。その体格を活かしたボディコンタクトの強さも然ることながら、柔らかなボールタッチとスペース認識能力をベースとしたドリブル能力が非常に秀逸だ。それらのスキルにより、彼は適切なスペースを見つけてボールを前進させることができ、延いては相手の守備組織を崩して新たなスペースやパスコースを生み出すことが可能となる。

空中戦

191cmという大柄な体格に加え、優れたポジショニングセンスを有するロドリは空中戦においても脅威となる存在だ。実際、彼の空中戦勝率は70%に達しており、これは欧州5大リーグのMFの中でもトップクラスの数字である。なお、かつてシティを支えた前任者のアンカーであるフェルナンジーニョの空中戦勝率が50%程度であった。シティにとってロドリは、空中戦の優位性を保証する存在としても極めて重要といえるだろう。

得点能力

ロドリは中・長距離からのシュート力に優れており、ディフェンシブミッドフィルダーながら得点への意識も高い。特に正確な位置取りと強烈なキック力により、これまで重要な試合でも多くのゴールを決めてきた。例えば2022-23シーズンのチャンピオンズリーグ決勝では、その正確なシュートで決勝点をマーク。チームを歴史的なトレブル達成に導いている。

不可欠な存在、故の改善点

ロドリはマンチェスター・シティの戦術に不可欠な存在となっており、グアルディオラが依存する選手でもある。シティは以前、守備的ミッドフィールダーが不足しており、フィジカル面でも弱点を抱えていたが、ロドリの加入によりこれらの課題が見事に解消された。彼のフィジカルの強さ、パス能力、そして何より試合の流れを読む力が、シティに絶大な安定感をもたらしたのだ。

しかしその反面、彼への依存度が高く、彼に多大な負担がかかってしまっていることも事実である。そんな中、ロドリは2024-25シーズン序盤に膝の前十字靭帯断裂という大怪我を負ってしまった。今後は過剰な依存を避けるための戦術的な工夫や、彼の負担を分散させるバックアップの整備が強く求められるだろう。

プレー動画

まとめ

ロドリは現代サッカーにおける理想的なディフェンシブ・ミッドフィールダーであり、攻守にわたる幅広い役割を最高水準でこなす。ポジショニングセンス、タックル、空中戦、パス、ドリブル、そして得点力と、彼のプレーには欠点が見当たらない。今や世界最高の座に君臨するロドリは、数多くの選手のお手本となるべき存在だ。一日も早い怪我の完治と実戦復帰を心から願いたい。

タイトルとURLをコピーしました