ベンヤミン・シェシュコは、スロベニア出身のフォワードであり、そのプレースタイルはしばしばアーリング・ハーランドと比較される。彼は現在RBライプツィヒでプレーしており、今後の成長が期待される超有望株のストライカーである。この記事ではそんなシェシュコについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 2003/05/31 |
国籍 | スロベニア |
身長 | 195cm |
ポジション | FW |
利き足 | 右 |
キャリア初期
シェシュコは2010年に地元クラブのラデチェでサッカーを始め、その後、Rudar TrbovljeやKrškoなどのクラブでユースキャリアを積んだ。2018年にNKドムジャレに加入し、翌年にはオーストリアのレッドブル・ザルツブルクとプロ契約を結んだ。
ザルツブルクからライプツィヒへ
ザルツブルクではすぐにリーフェリング(リザーブチーム)にレンタル移籍し、オーストリア2部リーグで44試合に出場し22得点を挙げた。2021年にザルツブルクのトップチームでデビューし、その後、オーストリア・ブンデスリーガ3連覇とオーストリアカップ優勝を果たす。2023年、シェシュコはドイツのRBライプツィヒに移籍し、初年度から重要なゴールを数多く決めるなど、印象的な活躍を披露している。
スロベニア代表キャリア
国際舞台では、シェシュコはスロベニアの各年代別代表を経て、2021年に18歳でA代表デビューを果たし、最年少記録を更新。2024年にはUEFA欧州選手権にも出場し、スロベニアを初の決勝トーナメント進出に導いた。また、UEFAネーションズリーグでも活躍し、2024年にはカザフスタン戦で初のハットトリックを達成している。
プレースタイル
ここからは、シェシュコのプレースタイルについて詳しく見ていく。彼は195cmという大柄な体格を持ちながらも、驚異的なスピードと機動力を備えており、ゴール前での決定力も高い選手である。
フィジカルとスピード
シェシュコのプレースタイルにおける最大の特徴の一つとして挙げられるのが、何といってもフィジカルとスピードの融合である。195cmという恵まれた体格を持つ選手は、一般的に空中戦や球際における強みを活かすプレースタイルを形成しがちだが、シェシュコの場合は驚異的なスピード・機動力も有している点がユニークだ。そのため、彼は最前線でフィジカルバトルに勤しむよりも、むしろ俊敏な動きでスペースを突く動きを好む。
彼の最高時速は36キロを超えており、特にポジティブトランジション(カウンター)時にそのスピードをいかんなく発揮。その際、彼はただペナルティボックス内に侵入するだけでなく、時にはサイドに流れてスペースを使うなどの柔軟な動きを見せ、相手ディフェンダーを惑わしゴール前にスペースを作り出すことができる。またゴール前へと飛び込む場合には、ハーランドと同様に素早い動きで相手を置き去りにし、決定的なシュートを放つことが可能だ。
フィニッシュ能力
シェシュコのフィニッシュ技術は非常に高く評価されており、特に両足を使ったシュートの正確さが際立っている。そのシュートはパワーと精度が両立しているため、相手キーパーにとっては非常に厄介な存在だ。また、シュート時における冷静さも彼の強みであり、適切なタイミングを見極めて落ち着いてゴールを狙うことができる。
シーズンを通じてのデータからも分かるように、シェシュコは高いゴール期待値(xG)を持ち、実際の得点数でもそれを上回るパフォーマンスを披露。彼の得点の多くはペナルティエリア内からであり、そのポジショニングセンスも非常に優れている。彼はスペースの認識能力に長けているため、時に細かい動きを駆使することで相手ディフェンダーとの間にわずかな距離を創出。そうしてシュートスペースを確保することで、高いゴール決定率へと繋げているのだ。
空中戦
彼の195cmという身長は、やはり空中戦において大きなアドバンテージだ。打点の高いヘディングにより、セットプレーや味方からのクロスに際してはターゲットマンとして機能する。ただし、彼はフィジカル的にまだ成長段階にあり、特に空中戦での圧倒的な存在感を高める余地は大きい。適切なコーチングやフィジカル強化により、彼はさらに強力なエアバトラーとなる可能性を秘めている。
テクニックと連動性
シェシュコはゴール前でも脅威となるストライカーだが、かといってただの「ボックスストライカー」というわけではない。彼にはボールキープやリンクアッププレーを通して周囲の味方と連動し、相手の守備組織を崩していこうとする意識が備わっており、その際に見せるテクニックやスペース認識のレベルも高い。ただし、現時点でその動きは組織的に十分に洗練されているとはいえず、更なる戦術理解の向上が求められるところだ。
ハーランドとの比較
シェシュコはそのプレースタイルから、特にアーリング・ハーランドと比較されることが多い。両者ともに大柄でありながら、スピードと技術を兼ね備え、ゴール前にて圧倒的な存在感を発揮する点で共通している。また、シェシュコ自身もハーランドを尊敬しており、彼のプレー映像を研究して自身の成長に役立てているという。
ただし、現時点で両者にはいくつかの相違点も見受けられる。今のところ、シェシュコはハーランドほどゴールを狙うのに最適化した動きは見せられておらず、ゴールチャンスを生み出すための多様な動き出しや瞬間的なスピードは明らかにハーランドが上だろう。しかしながら、シェシュコには両足を起用に使いながら周囲の味方へとパスを供給する「チャンスメイカー的側面」に大きな伸びしろを残しており、ハーランドよりも多機能型のストライカーとして進化する可能性は十分にあるように思われる。いずれ、シェシュコとハーランドは似て非なるプレーヤーとしてはっきりと区別されるようになるかもしれない。
プレー動画
まとめ
ベンヤミン・シェシュコは、現在のRBライプツィヒおよびスロベニア代表において、非常に重要な役割を果たしている。彼のフィジカル、スピード、テクニック、そしてゴール前での冷静さは、彼を世界トップクラスのストライカー候補へと押し上げる要素となっている。これから更なるフィジカル面の強化や戦術的な成熟を果たすことによって、憧れのハーランドに匹敵するレベルの存在になれるだろう。