コール・パーマーは、イングランド出身の超有望なアタッカーである。現在はプレミアリーグの強豪チェルシーでプレーしており、攻撃の鍵を握る選手として圧倒的な存在感を放っているところだ。この記事ではそんなパーマーについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 2002/05/06 |
国籍 | イングランド |
身長 | 189cm |
ポジション | MF/FW |
利き足 | 左 |
キャリア初期
パーマーは幼少期からマンチェスター・シティのアカデミーに所属し、ユースキャリアを経て2020年にシニアデビュー。舞台はリーグカップのバーンリーとの一戦であり、3-0の勝利に貢献した。
翌2021-22シーズンにはチャンピオンズリーグ、FAカップ、リーグカップの3大会でゴールを記録。続く2022-23シーズンにはシティでトレブル(三冠)を経験した。しかし、いずれもトップチームでの出場機会は限られていたため、パーマーは移籍を決意。チェルシーに活躍の場を求めることになる。
チェルシーへの移籍と成功
チェルシーでの初年度となる2023-24シーズン、パーマーはいきなり大ブレイクを果たした。デビュー戦から1カ月後に初ゴールを挙げると、その後もアシストや得点を継続的に記録。特にペナルティキックを含む安定した得点能力で注目を集めた。同シーズン、パーマーは最終的に公式戦で48試合に出場し、27ゴール・15アシストと見事な成績を記録。さらには、チェルシーの年間最優秀若手選手賞やファンによる年間最優秀選手賞など、多くの個人賞を受賞し、プレミアリーグの若手最優秀選手にも選ばれた。
2024-25シーズンもパーマーの勢いは止まらず、序盤からゴールとアシストを量産。8月にはチェルシーと新たに2033年までの長期契約を結ぶなど、チェルシーレジェンドへの道を歩み始めている。
イングランド代表キャリア
パーマーはイングランド代表としてのキャリアもうなぎ上りだ。彼はユース代表から順調にステップアップしていくと、2023年にはU-21代表としてUEFA欧州選手権を制覇。同年11月にはフル代表デビューも果たす。そして2024年にはフル代表に定着し、EURO 2024大会でチームは決勝に進出。彼自身も決勝のスペイン戦で同点ゴールを決める活躍を見せたが、惜しくも2-1で敗れて準優勝に終わった。
現在のイングランド代表の攻撃陣は才能の宝庫と化しているが、その中でもパーマーの実力は決して引けを取っていない。現在のパフォーマンスを考慮すれば、彼がイングランド代表のレギュラーとなっても全く不思議ではないだろう。
プレースタイル
ここからは、パーマーのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼はプレーメーカーとしてチームメイトにチャンスを提供するだけでなく、得点能力、視野の広さ、守備への貢献といった多彩な要素を備えたオールラウンドな攻撃的ミッドフィルダーである。現在はより中央でのプレーが増えたことで、その才能がいかんなく発揮されているところだ。
ハーフスペースの活用
パーマーのプレースタイルの要となるのが、「ハーフスペース」での質の高い動きである。彼は主に相手ミッドフィルダーとディフェンダーの間に巧みにポジションを取り、相手にマークの混乱を生じさせる。そしてひとたびボールを受けると、持ち前のテクニックを存分に発揮。相手ディフェンダーを引きつけつつ、裏への正確なスルーパスやドリブル突破で得点機を創出していくというのが得意パターンの1つだ。
また、パーマーはオフザボールの動きも素晴らしい。特に相手の「ポケット(相手ペナルティエリア内のハーフスペース)」へと侵入し、そこからフィニッシュワークへと繋げていく流れは非常に洗練されており、これまで多くの得点チャンスを生み出してきた形である。
なお、パーマーはボールを受ける際に常に周囲を確認し、次の動きを正確に行うための視野を確保している。これにより、彼は周囲のスペースや味方を把握しながらスムーズにプレーを展開でき、ボールを奪われることなく質の高いドリブルやパスでチャンスを作り出すのだ。
精密なフィニッシュ精度
パーマーは得点能力が非常に高く、特に左足からの精密なシュートが特徴的だ。威力と精度が伴ったシュートは広いレンジを持ち、ペナルティエリア内からはもちろんのこと、エリア外からも狙ったコースへ安定したショットを放つ、データサイト『FBref』の統計でも示されている通り、彼はPKを除くゴール期待値がヨーロッパ5大リーグのアタッカー陣の中でトップ5%に入りつつも、そのゴール期待値を上回る得点を生み出しているのだ。これはフィニッシュの正確さを物語るデータといえるだろう。
役割の柔軟性と多様性
パーマーは、先述の通りハーフスペースを主戦場としつつも、状況に応じて中央からサイドまで幅広く動き、サイドからクロスやカットインも行う。これによりチームの流動性が高まり、相手守備陣は対応しにくくなるのだ。そして、こうした動きにディフェンダーが釣られた場合にはスペースが生まれるが、そこを的確に利用できるのもパーマーの強みである。
流動的なパーマーのポジショニングにより、相手はDFラインを崩すか、専用の対策を講じる必要が生じる。相手側に難しい対応を強いるこうした動きは、味方チームに有効なスペースを提供するための重要な戦術的役割といえるだろう。
守備への貢献と戦術的プレス
攻撃面での目覚ましい活躍だけでなく、パーマーは守備においても重要な役割を果たしている。彼のプレスは数値としてはそこまで高くないが、効果的なシチュエーションで的確にプレスをかけるため、相手のパスミスやボール奪取から得点機会を生むことが多い。例えば、彼のディフェンスアクションをきっかけとするゴール、およびシュート創出アクションはヨーロッパ全体でもトップクラスにあり、単なるディフェンス貢献にとどまらない「攻撃的なプレス」として評価されている。パーマーは守備時に無理に相手に突っ込むのではなく、相手のミスや位置取りを読みながらプレッシャーをかけるスタイルをとっている。このため、チェルシーのハイプレス戦術にも自然にフィットしているのだ。
プレー動画
まとめ
コール・パーマーは、現在のプレミアリーグにおいて最も印象的な選手の一人である。卓越した得点能力とチャンスメイク力、テクニック、サッカーインテリジェンス、そして戦術的な柔軟性を兼ね備えており、その優秀さはデータでも裏付けられている。もしもこの勢いが続き、さらなる成長と活躍を見せられるようであれば、今後数年間のうちにパーマーが世界トップクラスの地位を確立することは想像に難くない。