ドニエル・マレンは、オランダ代表のアタッカーである。2025年1月、彼はプレミアリーグのアストン・ヴィラへ約2500万ユーロで移籍した注目の選手だ。この記事ではそんなマレンについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 1999/01/19 |
国籍 | オランダ |
身長 | 176cm |
ポジション | FW |
利き足 | 右 |
キャリア初期
2007年、マレンはアヤックスのアカデミーでサッカーキャリアを開始した。アヤックスでの育成期を経て、2015年にアーセナルへ移籍。この移籍については、彼の憧れであるティエリ・アンリとデニス・ベルカンプがかつて所属していたチームであることが影響していたという。アーセナルではユースチームで活躍し、FAユースカップやUEFAユースリーグで注目を集めた。2016–17シーズンには主にウイングとして起用され、2017–18シーズンのプレシーズンツアーにも参加。同年7月にはトップチームで初出場を果たした。
PSVへの移籍
2017年8月、マレンはオランダの名門PSVアイントホーフェンに移籍する。Jong PSVでの活躍を経て、2018年2月にエールディビジでデビュー。同シーズンにはPSVのトップチームの一員としてリーグ優勝を経験した。2019年9月にはフィテッセ戦で1試合5得点を記録するなど、クラブの主力として定着。2020–21シーズンにはエールディビジで19得点を挙げ、アシストも10回記録するなど、マルチな才能を発揮した。
ドルトムントへの移籍
2021年7月、マレンはドイツ・ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントに移籍。チャンピオンズリーグではスポルティングCP戦で初ゴールを挙げるなど、国際舞台での経験を積んだ。2023–24シーズンにはブンデスリーガで13得点を記録し、クラブのリーグトップスコアラーとなる。更に同シーズン、ドルトムントはチャンピオンズリーグ決勝に進出。その決勝ではマレンも途中出場し、チャンスを演出するも、レアル・マドリードに0-2で敗れた。
オランダ代表キャリア
オランダ代表キャリアについては、マレンはオランダの全世代別代表に選出され、2016年のUEFA U-17欧州選手権ではチームのベスト4進出に貢献。2019年9月、ドイツとのUEFA欧州選手権予選でシニア代表デビューを果たし、ゴールを記録した。ユーロ2020ではグループステージで2つのアシストを決め、決勝トーナメント1回戦ではスタメンとして起用されたが、チームは敗退。その後、2024年のUEFA欧州選手権ではルーマニアとのラウンド16で2得点を挙げ、チームの準々決勝進出に貢献した。
プレースタイル
ここからは、マレンのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼は攻撃的なポジション全般でプレー可能だが、中でも左ウイングを得意とする選手である。PSVアイントホーフェン時代には、ロジャー・シュミット監督の下でツートップの一角や左ウイングとして起用され、その潜在能力を発揮した。一方、右ウイングとしても高いパフォーマンスを見せることがあり、緊急時にはフォルス・ナイン(偽9番)や前線のワントップとしても対応できるユーティリティ性を持っている。
突破能力の高さ
マレンの最大の特徴は、そのスピードを活かしたアグレッシブなプレーだ。彼は最高時速35kmに達する加速力を活かし、背後のスペースへの侵入や1対1の突破を積極的に試みる。身長は高くないものの、優れた体幹とバランス感覚を持ち、ドリブル時や前線での競り合いでも倒れにくい。特に、対面の相手ディフェンダーに背を向けてボールを受けた後、鋭いターンで相手をかわし突破するプレーは、彼の得意技と言えるだろう。
得意な仕掛けの形
先述の通り、マレンは前線のあらゆるポジションで起用されるマルチプレーヤーである。ただし左ウインガーとしての経験が長いためか、ストライカーとして起用された際でも左サイドに流れる傾向があり、その位置から味方サイドバックとの連携突破やカットインシュートを狙う場面が多い。
一方、右サイドではより縦志向のプレーを選択する傾向がある。22-23シーズン後半にはエディン・テルジッチ監督の下で右ウイングとして起用され、直線的なプレーやスペースへの侵入が効率的に機能し、好調なパフォーマンスを披露した。
ウィークポイント
マレンの弱点としては、まず空中戦での競り合いの弱さや守備面での存在感の薄さが挙げられるだろう。また、オフ・ザ・ボールの動きにおいて、地上戦・空中戦を問わずスペースを賢く創出する能力が欠けている点も課題である。さらにウイングとしてプレーする際に中央に寄り過ぎる傾向があり、チーム戦術と合致しない場合がある。
加えて、マレンはスピードを活かした突破力に定評こそあるが、派手なドリブルや高度な個人技を頻繁に披露できるタイプではなく、トップレベルとは言い難い。そのため、試合展開や対戦相手のレベルによっては相手ディフェンダーにボールを奪われるシーンも散見される。
プレー動画
まとめ
ドニエル・マレンはスピードと突破力を武器に崩しの起点となれる選手であり、複数ポジションをこなす柔軟性を持つ。特に、両ウイングやフォワードとしての多様な役割に対応できる点は、監督にとって大きな利点だろう。一方で、守備力や戦術理解が求められる状況では課題も残る。これらの弱点を克服し、より安定したパフォーマンスを見せることができれば、彼はさらに高いレベルに到達できるだろう。