ヴィニシウス・ジュニオールは、圧倒的なスピードと技術を持ち味とするサッカー選手だ。現在レアル・マドリードとブラジル代表でプレーし、世界最高の選手の一人として大きな称賛と注目を集めている。この記事ではそんなヴィニシウスについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 2000/07/12 |
国籍 | ブラジル |
身長 | 176cm |
ポジション | FW |
利き足 | 右 |
キャリア初期
ヴィニシウスのキャリアは、フラメンゴのユースチームで始まった。彼のサッカーの才能は幼少期から注目され、2006年には6歳でフラメンゴの下部組織に加入した。フラメンゴでの育成を経て、2017年には16歳でトップチームデビュー。ブラジル国内での活躍により、そのポテンシャルはすぐに世界のクラブに注目されるようになった。
レアルマドリードへの移籍と成功
2017年5月、レアル・マドリードはヴィニシウスとの契約を発表し、18歳の誕生日を迎えた2018年に移籍が正式に実現した。この移籍には推定4600万ユーロが支払われ、ブラジルの若手選手としては史上2番目に高額な移籍金となった。レアル・マドリード加入後の初期はBチーム(レアル・マドリード・カスティージャ)でプレーし、トップチームでの適応には少し時間がかかったものの、徐々にその才能を発揮するようになった。
2021-22シーズンには飛躍的な成長を遂げ、レアル・マドリードのリーガ・エスパニョーラ優勝とUEFAチャンピオンズリーグ制覇に貢献。特にチャンピオンズリーグ決勝では、リヴァプールを相手に決勝ゴールを決め、チームを14度目のヨーロッパ制覇に導いた。ヴィニシウスはそのシーズンを通じて22ゴールを挙げるなど、攻撃の中心選手として確固たる地位を築いている。その後も素晴らしい成績を残し続け、2023-24シーズンには再びチャンピオンズリーグで優勝。ドルトムントとの決勝ではまたしてもゴールを記録し、同大会の最優秀選手にも選出された。
ブラジル代表キャリア
ヴィニシウスは、ブラジル代表としても若い頃から注目されていた。2015年の南米U-15選手権、2017年の南米U-17選手権では、それぞれチームの優勝に貢献し、自身も大会得点王に輝いた。これによりブラジル代表への期待は高まり、2019年にブラジル代表デビューを果たした。
これまで彼はコパ・アメリカ(2021、2024)、FIFAワールドカップ(2022)といった主要大会に参加。ワールドカップではラウンド16の韓国戦でゴール、2024年のコパ・アメリカではグループステージで2得点を挙げるなど活躍したが、チームはいずれも準々決勝で敗退している。ヴィニシウスはブラジル代表の未来を担う存在として、今後のさらなる活躍が期待されているところだ。
積極的な社会活動
ヴィニシウスは、フィールド外でも積極的な活動を行っている。2023年には、スペイン国内で複数の試合中に人種差別的な発言や行動を受けたことで大きな注目を浴びた。彼はこれに対し強く抗議し、ラ・リーガやスペイン国内のスポーツ界全体に対して人種差別への厳しい対応を求めた。こうした活動が評価され、2023年には「ソクラテス賞」を受賞。この賞は、サッカーを通じて社会に貢献した選手に贈られる特別な賞である。
また、彼は教育にも強い関心を持っており、「Instituto Vini Jr」という慈善団体を設立。ブラジルの恵まれない地域の子供たちに教育の機会を提供する活動を行っている。2024年には、ユネスコの「教育のための親善大使」にも任命されるなど、サッカー選手としての影響力を超えた偉大な社会貢献を続けている。
プレースタイル
ここからはヴィニシウスのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼のプレースタイルは、主に圧倒的なスピードと卓越したドリブル技術を特徴とし、相手の守備を切り裂く攻撃的なプレーで知られている。また、彼は左ウインガーとしてサイドから突破を図るプレーが特に注目されているが、中央でもハイレベルなパフォーマンスを披露することができ、ポジショニングや判断能力の向上と共にプレーの幅が広がっている。
スピードとドリブル
ヴィニシウスの最大の強みは、その圧倒的なスピードと卓越したドリブル能力である。彼は特に1対1の局面で非常に強く、相手ディフェンダーを簡単に突破する力を持っている。スピードだけでなく、彼の俊敏性や低重心による機敏な動きが相まって、狭いスペースでも正確かつスムーズにボールを扱うことができる。
ドリブルに関しても多彩なテクニックを駆使しており、フェイントや急激な方向転換で相手を揺さぶることで、ディフェンダーのバランスを崩す。特に、相手ディフェンダーの重心の動きを巧みに読み取り、それに逆らう形で動くことが多い。このようにして、彼はしばしば相手ディフェンダーを置き去りにし、決定的な得点チャンスを生み出しているのだ。
また、彼のプレーには独特のリズムがある。時にはスピードを緩めて相手の反応を見計らい、相手が守備アクションを起こすタイミングで一気に加速。この「緩急の使い分け」が、彼のドリブルを一層効果的にしている。また、両足でボールをコントロールできるため、内側にも外側にも自在に切り込むことが可能であり、相手ディフェンダーにとって対応するのが極めて困難な相手といえるだろう。
ポジショニングとスペースの使い方
ヴィニシウスは、スペースの認識能力にも非常に優れている。彼はフィールド上の状況を迅速に把握し、適切なタイミングで立ち位置を変更する能力を持っている。基本的には左ウイングとしてプレーするが、試合の展開によっては中央に位置を変え、ストライカーの役割を果たすこともできる。特に相手守備陣が広がったり、スペースが生まれた瞬間を逃さず、迅速にそこに入り込む動きが彼の特徴である。
レアル・マドリードのように攻撃時に選手が自由に動き回るスタイルにおいて、ヴィニシウスはしばしば中央に寄ったり、サイドに開いたりすることで相手守備を崩す。例えば、サイドバックが攻撃参加して高い位置を取った場合、ヴィニシウスは自然な形で中央エリアへと向かい、相手のディフェンスラインの裏を狙う。このような柔軟なポジショニングが、チーム全体に攻撃の流動性をもたらし、相手にとって予測しづらい状況を作り出しているのだ。
また、彼は「裏への抜け出し」が非常に得意であり、相手ディフェンダーの背後に抜けるタイミングが非常に優れている。スルーパスを受ける際には、相手ディフェンスラインの動きを把握し、最適なタイミングで抜け出すことで、ゴール前で決定的な場面を作り出すことができる。
フィニッシュとチャンスメイク
ヴィニシウスは、その圧倒的なスピードとドリブルだけでなく、フィニッシュ能力も年々向上している。レアルマドリードへの加入当初はゴール前での冷静さに課題があり、シュートの精度が低いと指摘されていたが、現在ではそうした欠点を克服したようだ。特にゴール前での判断力が大きく改善されており、相手ゴールキーパーの位置をよく見て、適切なフィニッシュを選択する能力が備わっている。力強いシュート、カーブシュート、チップキックシュートなど、状況に応じた柔軟な対応が可能である。
加えて、ヴィニシウスはアシスト能力にも優れており、ゴール前で味方に決定的なパスを送る場面が増えている。特に低く速いクロスをゴール前に送る技術は、相手ディフェンダーにとって非常に厄介であり、ゴール前での混戦を引き起こすことが多い。また、彼はしばしば相手ディフェンダーの足元を狙ってボールを通す「スルーパス」や、ディフェンスのギャップをついた「カットバック」も得意としており、これが多くの得点機会を生み出している。
守備とカウンター
ヴィニシウスの守備面に関しては、攻撃面ほどの貢献度はないが、それでも一定の役割を果たしている。彼は前線で積極的にプレスをかけ、相手ディフェンダーにプレッシャーを与えることで、チームのボール奪取延いてはカウンター攻撃に繋げることに貢献。特に、相手がボールを保持している際に高い位置にポジションを取ることで、ボールを奪った際にすぐに反撃に転じる準備をしている。ヴィニシウスのスピードとドリブル能力はポジティブトランジション時においても抜群の影響力をもたらしており、チームのカウンターを主導する存在である。
プレー動画
まとめ
ヴィニシウス・ジュニオールは、スピード、ドリブル、ポジショニング、そしてフィニッシュ能力のいすれにおいても非常に高い水準に達している。彼のプレーは単なる個人技ではなく、チーム全体に多大な好影響を与えており、攻撃に柔軟性と流動性を生み出すものだ。また守備面での役割は控えめであるものの、前線でのプレスやボール奪取後の攻撃への迅速な切り替えを担当しており、それらは現代サッカーにおいて非常に重要な要素である。今後もヴィニシウスが更なる成長・活躍を続けることで、レアル・マドリードとブラジル代表により多くの成功をもたらすだろう。