マルクス・テュラムは、フランス代表のストライカーである。現在インテルに所属している彼は全盛期を迎えており、その才能を遺憾なく発揮しているところだ。この記事ではそんなテュラムについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 1997/08/06 |
国籍 | フランス |
身長 | 192cm |
ポジション | FW |
利き足 | 右 |
キャリア初期
2015年、テュラムはフランスのFCソショーでプロデビューを果たした。同クラブでは3シーズンにわたりリーグ・ドゥ(フランス二部リーグ)でプレーし、その後2017年にギャンガンへ移籍。リーグ・アン(フランス一部リーグ)で2シーズンを戦った。
そして2019年、テュラムはドイツのボルシア・メンヒェングラートバッハへ活躍の場を移す。同クラブでは4シーズンの間プレーし、通算134試合で44ゴール・29アシストを記録。特に、ラストシーズンには16ゴール・7アシストを記録する見事な活躍を披露した。
インテルへの移籍
2023年、テュラムはイタリアのインテルにフリー移籍。加入初年度(2023ー24シーズン)から瞬く間にレギュラーに定着した彼は、公式戦46試合に出場して15ゴール・14アシストと素晴らしいパフォーマンスを披露。チームのスクデット(リーグ優勝)とスーペルコッパ・イタリアーナの二冠を達成する上で欠かせない存在となった。
翌2024-25シーズンも快調な滑り出しを見せており、8月のセリエA月間最優秀選手賞を受賞している。
フランス代表キャリア
2016年、テュラムはフランスのユース代表としてUEFA U-19欧州選手権で優勝を経験。その後2020年11月にフランスA代表に初招集され、翌年のUEFA欧州選手権にも出場した。2022年のFIFAワールドカップでは準優勝に貢献し、決勝のアルゼンチン戦ではキリアン・エムバペの同点ゴールをアシストするなど印象的なプレーを披露。2023年9月のアイルランド戦では待望の代表初ゴールも記録している。
プレースタイル
ここからは、テュラムのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼のプレースタイルは、主にその圧倒的な身体能力と戦術的柔軟性に基づいている。
優れた身体能力
テュラムの能力についてまず注目すべきは、そのスピードとフィジカルの強さである。192cm・90kgという強靭な体格に加え、時速35.72kmのトップスピードを記録するなど、アスリートとしての並外れた資質を持つ。
更に、テュラムはモビリティが高い。広く動き回りながらスペースを活用し、持ち前の個人能力を発揮してボールをキープしたりドリブルしたり、裏に抜けたりと多彩な動きを見せることが可能だ。そのため、サイド・中央を問わず相手の脅威となる選手である。
ドリブル能力
テュラムは先述したフィジカル、スピードを活かした直線的なドリブルを武器とする。技巧派ではないが、その身体能力を活用して相手を強引に剥がしていくのだ。
特に、テュラムは左サイド側に流れて仕掛ける形を得意としている。そこではシンプルな縦突破からチャンスを作り出すだけでなく、中央へのカットインや味方とのワンツーでシュートを狙う場面も多い。
シュート能力
テュラムは右足を利き足としながらも、状況に応じて左足も効果的に使える。したがって、シュートやドリブルの際にどちらの足を選ぶか相手にとって予測が難しい。こうしたプレーの選択肢・方向性が多様である点は特に相手ボックス近辺で大きな違いを生み出し、テュラムが多くのゴール・アシストを記録できる要因となっている。
チャンスメイク能力
テュラムは単なるフィニッシャーではなく、周囲の選手を活かす能力にも優れている。ドリブル突破からのラストパスに加え、的確なポジショニングや視野の広さを活かしたチャンスメイクでアシストを記録する場面も多い。また、攻撃時には中盤と最前線のリンク役を担うなど、味方に選択肢とスペースを与える献身的なプレーも可能だ。
守備能力
テュラムは運動量が豊富であり、守備においても重要な役割を果たす。特にインテルでは、前線からのプレスとコンパクトなミドルブロックを柔軟に使い分ける戦術において、ファーストディフェンダーとしてハイレベルに機能。相手のビルドアップを積極的に妨害する役割を担っている。
戦術的柔軟性
テュラムは戦術面でも高い柔軟性を持つ。ボルシアでは4-2-3-1のシステムでウィンガーやセンターフォワードを兼任し、インテルではシモーネ・インザーギ監督の3-5-2に適応。インテルでは主にセカンドストライカー的な側面が強く、相棒ストライカーのラウタロ・マルティネスとの好連携で攻撃をリードする場面が多い。
テュラムは幅広く動いて中盤と前線をリンクする役割を果たしながら、サイドへの流動的な動きや前線への飛び出しで得点機会を演出するなど、先述した多面的な能力を最大限に発揮。2023−24シーズンには15ゴール・14アシストを記録するなど、結果としても見事な働きを見せている。
ウィークポイント
かつてのテュラムは身長・体格の割に空中戦が苦手とされていたものの、インテルに加入してからは関連スタッツが大きく改善している。この調子でいけば、ヘディングによるゴール増加も期待できるはずだ。
また、テュラムは既にトップクラスのストライカーとしての実力を示しつつあるが、その評価を確立するにはフィニッシュ能力の安定性を高める必要があるだろう。彼の決定力についてはブンデスリーガ時代から指摘されており、インテル移籍後は改善傾向にあるとはいえ、2023-24シーズンのチャンピオンズリーグ・アトレティコマドリード戦などでは致命的なミスが見られた。今後はビッグマッチでも継続的に結果を残すことで、決定力についてのネガティブな印象を払拭することができるだろう。
プレー動画
まとめ
マルクス・テュラムは、身体能力、戦術理解、攻撃の多様性といった強みを持ち、インテルの非常に重要な戦力として見事な活躍を続けている選手だ。彼の年齢を考えると、さらなる技術的な洗練とキャリアの成功も期待できる。特に今後はフランス代表としての国際大会での結果が、彼の将来的な評価を決定づける重要な要素となるだろう。