マルク・カサドは、現在バルセロナに所属するミッドフィルダーである。バルサの下部組織で育成された彼は、セルヒオ・ブスケツの後継者候補と目される超有望株だ。この記事ではそんなカサドについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 2003/09/14 |
国籍 | スペイン |
身長 | 172cm |
ポジション | MF |
利き足 | 右 |
キャリア初期
2016年、カサドは13歳でバルセロナのユースアカデミーに入団。フベニールA(U-19)時代、バルセロナB時代にはそれぞれキャプテンを務めるなど、当初から期待の若手として大きな期待を寄せられていた。
すると2023年10月、カサドはチャンピオンズリーグのシャフタール戦にてトップチームデビュー。翌2024-25シーズンからトップチームに定着すると、そのままレギュラーに定着して素晴らしいパフォーマンスを披露している。
スペイン代表キャリア
カサドは代表キャリアにおいても右肩上がりだ。2024年10月にU-21でデビューを果たしたが、翌11月には早くもA代表に初招集。絶対的な中盤の支柱であるロドリが負傷離脱中なこともあり、カサドに対する期待は代表でも高まっている。
プレースタイル
ここからは、カサドのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。ディフェンシブミッドフィルダーを本職とする彼は、豊富な運動量と優れたパス能力・ポジショニングセンスにより、攻守においてチームのバランスを整える重要な役割を担っている。
ビルドアップ能力
カサドは優れた視野と高いパス精度を持っており、タイトなスペースでも冷静にボールを保持し、効果的なパスでチームのリズムを作り出す。やや下がり目の位置で被カウンターに備えつつ、チームのパス回しにも貢献。敵・味方の位置に合わせて的確にポジショニングする能力が光っているのだ。
なお、2024-25シーズン10月時点のラ・リーガでのデータによれば、カサドのパス成功率は92%に達し、一試合平均で7.9本ものプログレッシブパス(前方へのパス)を記録。この数字はラ・リーガのミッドフィルダー全体の中でも上位8%に位置しており、カサドが単なるバランサーではなく、攻撃的な前進を意識したプレーメーカーであることも示している。
守備面での貢献
カサドは守備面での貢献度も高い。先述の通り、的確なポジショニングによって被カウンターに備えているため、ボールを失った際には素早くアプローチすることができる。また、状況判断能力にも長けており、敵・味方の数的/位置関係を把握しながらアプローチの手法を変えることができるのも魅力だ。チームのボールロスト時、ただ即時奪回を目指してがむしゃらにプレッシャーをかけるのではなく、自身の周辺にある危険なスペースやパスコースを優先的に管理し、相手の効果的な前進を阻止する。
更に、カサドは非常に小柄ながらインテンシティが高い。ルーズボールに対する反応の速さも然ることながら、相手ボールホルダーに対しても果敢にデュエルを挑み、身を挺して相手の前進を阻むのだ。豊富な運動量でピッチを駆け回り、献身的に守るその姿は非常に印象的である。
なお、そうしたカサドの積極性はデータにも表れている。2024-25シーズンの10月時点で、カサドはファイナルサードでのタックル成功率が99パーセンタイル(上位1%)を記録。また、中盤でのタックル数も一試合平均で1.5回と高い水準にあり、実質的なボール奪取能力も高いことが窺える。
ウィークポイント
インテンシティに優れたカサドだが、それでもフィジカル面にはまだ課題が残る。彼の身長は172cmで、体格も線が細く、競り合いでの力強さには欠けてしまう。持ち前の運動量、テクニック、インテリジェンス、ポジショニングセンスで見事にカバーしてはいるものの、身体能力に長けた相手選手に対しては、どうしても物理的な速度やパワーで押し切られてしまう場面が少なくない。今後はよりテクニック面を洗練させていくとともに、フィジカル面の成長にも期待したいところだ。
ブスケツとの比較
セルヒオ・ブスケツの後継者候補と目されるカサドだが、少なくとも現時点で両者のプレースタイルは異なる印象だ。ブスケツがずば抜けたインテリジェンスと正確無比なボールスキルを活かしてゲームを冷静にコントロールしていたのに対し、カサドはより俊敏かつ動的なプレーを好む傾向がある。そのため、彼が完全にブスケツの役割を担えるか判断するのは時期尚早だろう。
一方、カサドが経験を積むにつれて独自のスタイルを確立し、バルサの新しいピボーテとして中盤を長期に支える存在になる可能性は十分に考えられる。いずれにせよ、彼もまた優秀な監督の下で学び、他のトップレベルのミッドフィルダーたちとともに経験を重ねる中で、バルサの中核を担う選手として成長していくはずだ。
プレー動画
まとめ
トップチームに定着して1年目にも関わらず、すでにバルセロナの主力として素晴らしいプレーを披露しているカサド。これから経験を積んでいくことで、更にハイレベルかつ安定したパフォーマンスを発揮することが期待される。バルサの未来の中盤を支える小さな巨人として、彼が今後どのように成長し、クラブを成功に導くのか。その歩みに大いに注目していきたい。