サムエレ・リッチは、イタリア代表のミッドフィルダーである。現在はトリノでプレーしており、その有望なパフォーマンスによって多くのビッグクラブから注目を集めているところだ。この記事ではそんなリッチについて紹介していきたい。
基本情報・成績
生年月日 | 2001/08/21 |
国籍 | イタリア |
身長 | 181cm |
ポジション | MF |
利き足 | 右 |
キャリア初期
リッチはエンポリのユースチームでキャリアを開始すると、2019年4月に18歳でプロデビューを果たした。2019-20シーズンからセリエBにおいて主力選手として活躍し、2020-21シーズンにはエンポリのリーグ優勝およびセリエA昇格に大きく貢献。その年、彼はセリエBの年間最優秀選手賞も受賞した。
トリノへの移籍
2021-22シーズン前半戦、リッチはエンポリでプレーを続け、セリエAでも有望なパフォーマンスを披露。その活躍が評価され、同シーズンの後半戦からはトリノへ移籍することとなった。
トリノでもリッチは地位を確保し、数シーズンにわたってレギュラーとしてコンスタントに活躍中だ。今や多くのビッグクラブから関心を寄せられる存在となり、ステップアップの可能性が高まっている。
イタリア代表キャリア
リッチのイタリア代表キャリアは2017年、イタリアU-17代表に招集されたことに始まる。2018年にはU-17欧州選手権で準優勝を経験し、2020年にはU-21代表デビューを飾った。すると2022年にはイタリアA代表に初招集。その後しばらくはU-21でのプレーが続いたが、2024年9月には再びA代表に招集され、初スタメンも果たした。今後は代表でもレギュラー定着を目指す。
プレースタイル
ここからは、リッチのプレースタイルについて詳しく見ていきたい。彼は主に守備的ミッドフィールダーやセントラルミッドフィルダーとしてプレーし、チームのボールポゼッション時において安定感をもたらす重要な役割を担っている
ボールキープ能力
リッチの最大の特徴といえるのが、プレッシャーを受けながらもボールを失わないキープ能力である。優れたテクニックを有する彼は、狭いスペースであっても細かいタッチを駆使して相手をかわすことが可能。右足を主に利用するが、どの角度から来るボールもスムーズにコントロールできるため、トラップ時の安定感が際立っている。また、低重心であるため敏捷性が高く、瞬時に方向転換して相手のプレッシャーを回避するプレーが上手い。
さらに、リッチは身体の使い方が非常に巧みであり、自身の身体を盾として使うことで、相手にボールを触れさせない。加えて、一瞬の加速と正確なタッチによってボールを持ち出し、相手マーカーとの距離を稼ぐ動きも得意としている。このような要素が組み合わさり、彼はプレッシャー下でのボール保持において非常に安定したプレーを見せるのだ。
パス能力
リッチは持ち前のパス能力と正確な判断能力を活かすことで、トリノにおけるポゼッションの中心的存在として機能している。彼は周囲の状況を頻繁にスキャンしつつ、リスクを最小限に抑えたパスを選択する傾向が強い。
特にショートパス・ミドルパスの安定感が際立っており、それらの成功率は頻繁に90%を超えている。機を見た縦パスで局面を打開することはもちろん、安定したバックパスや横パスでチームのポゼッションを落ち着かせるなど、チームの攻撃リズムを左右する重要な役割を担っているのだ。
ウィークポイント
将来有望なリッチだが、現時点ではまだ改善すべき点が少なくない。最大の課題といえるのが、リスクを冒すプレーを控える傾向が見られる点である。彼は積極的な縦方向へのプレーを試みる頻度が比較的少なく、攻撃面でのインパクトはやや限定的。その結果、試合の流れを劇的に変えるようなプレーや得点に直結する動きはあまり見られない。
また、リッチはフィジカルコンタクトを避ける傾向もあり、守備面では相手の動きを読むインターセプト能力が高い一方で、激しいデュエルの総数は少ない。加えてポジショニングにも課題があり、守備時には最終ラインを適切にプロテクトする動きが十分とは言えない。
プレー動画
まとめ
サムエレ・リッチは、試合のテンポを落ち着かせ、プレッシャー下でも安定してボールを保持できる選手である。その基本となるプレースタイルは現代サッカーにおいても需要が高く、多くのトップクラブが彼の能力に注目する理由となっている。一方、より機能的な選手となるためには、攻守両局面において積極性を高める必要があるだろう。特に、リスクを冒す縦志向のプレーやポジショニングの洗練は、さらなる成長の鍵となるはずだ。
リッチは派手さや目立つスタッツこそ少ないが、その安定感とプレッシャー耐性は彼を特別な存在にしている。今後その能力を磨き上げていくことで、イタリアのみならず世界のトップレベルの舞台で輝く選手になれるだろう。